「競技はフェアであるべきだが。」疑惑のチャンピオン 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
競技はフェアであるべきだが。
癌を克服して復活し、7度もツールドフランスを制した男の話。
本人の才能がどれほどのものか知らぬが、7度ということは、7年以上も王者に君臨し続けるということ。その精神の強さは尋常じゃない、と思っていた。
が、やっぱりやっていたんだわな、ドーピング。
やっぱりなんだよ、やっぱり。じゃなきゃそんなに続かない。
そんな嘘まみれの本人はもとより、チームメイトや自転車業界だってグルじゃないか。本人だけを悪者にするのって卑怯だと思う。
図式を変えれば、アスリートに限らず、『八百長』という名の組織ぐるみのドーピングはあるのだよ。音楽業界のゴーストライター、政治家の癒着、食品会社の偽装表示、アイドルの年齢詐称、、、ファンや消費者をだましていることには変わりがない。
出来レースを承知で一緒に楽しめるのはプロレスぐらいなものか。
だけど、やはりそうゆう他と根本的に違うのは、フェアじゃないこと。
正直、本人の肉体への副作用なんて自業自得だからどうでもいい。むしろ、後悔と贖罪の意識とともに終生苦しんで当然だとも思う。じゃなきゃ、真面目に競技に取り組んでる選手がバカを見るだけだ。薬に限らず、卓球のラケット問題なんかもそう。わからなければ何でもありの無法状態だ。
競技者は紳士たるべき。その努力の結果の勝利にこそ、称賛は惜しまない。
・・・と言っている自分がもしある程度の才能を持ち、「プログラム」によって目の前に勝利や栄光や富が手の届くところにあるとしたら?
ああ、怖い怖い。悪に手を染めた人を悪し様にたたきながら、そうなりかねない自分もすぐそばにいるようで。
コメントする