「アイデアは秀逸だがあまりに説明不足で謎解きマニア向けの作品」パラドクス 徒然草枕さんの映画レビュー(感想・評価)
アイデアは秀逸だがあまりに説明不足で謎解きマニア向けの作品
世界は多元的で、一つは同じ時間が繰り返される世界、もう一つは我々が日常生活を営んでいるように時間とともに変動している世界。その一つから別の一つへ、突然の出来事によって跳び越えてしまった人々の運命を描いた作品…らしいw
作品世界の枠組みは正確には不明だ。最後に異世界に跳んだ二つのグループのうち、それぞれ一人だけは日常生活に復帰し、その世界での人生を改めて経験するが、その後、再びループ世界に舞い戻って、今度は自分が他者をループ世界に道引く案内人となってしまう。…らしいw
無限ループもののSFは何作か見たことがあるが、本作の場合、ループ世界で35年も過ごしてしまい、ボロボロになっていくところがユニークなところか。
しかし、日常世界への復帰と、ループ世界への導き手と化す世界の仕組みが、あまりにも説明不足でドラマを感じさせるに至らなかった。
そもそも本当に説明しきれるような論理を用意しているのかも疑問で、二つの世界はどうやら相互補完的な関係らしい、ということまではわかるものの、そこでの主人公の役割も不明確なまま、もやもやしたまま終わるのである。
さまざまにバラまかれた伏線がきちんと回収されていれば、恐らくはカタルシスに繋がったと思われるが、ちゃんと回収されたか否か、それさえ分からないのでは、後は謎解き好きなマニアの方に委ねるしかないだろう。
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