劇場公開日 2016年1月12日

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「2014年のオーストリアの作品 サイコスリラーのジャンルに秘められ...」グッドナイト・マミー R41さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 2014年のオーストリアの作品 サイコスリラーのジャンルに秘められ...

2025年9月4日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

2014年のオーストリアの作品
サイコスリラーのジャンルに秘められた難解さにどれだけ気づくことができるか?
ここがこの作品を見るポイントとなる。
最後まで何が問題なのかがわからないほど難解な作品
最後のシーンで小屋が焼け落ちる。
あの場所は、母が建てた別荘のような場所で、ブルーレイとサインという言葉があるように、母はかつて女優だったことが伺える。
その母のもとに生まれてきたのがエリアスとルーカスの双子の兄弟
しかしその別荘で事故は起きた。
それはおそらく父が持っていたライフル
ライフルには弾が残っていて、それをおもちゃにしていたエリアスが、ルーカスを撃ったのだろう。
ルーカスは死に、もしかしたら母も自殺したのかもしれない。
この映画の視点は絶えずエリアスにあり、何故ルーカスに視点が逝かないのか不思議に感じていた。
エリアスはこの事件を完全に封印することに決めたのだろう。
同時にエリアスの心に、ルーカスが作り出された。
このことこそ、夫婦にとって一番つらいことになった。
そしてこの解離性同一障害のようになったエリアスの視点で、この物語が紡がれていく。
ここで気になるのがタイトルだ。
エリアスには絶えずママという人物が核にある。
つまり、ママはやはり死んだのだろう。
父は、医者に言われたのかどうか不明だが、自分の頭ですべてを作り出してしまうエリアスに対し、荒療法であの別荘へ滞在させることを提案した。
案の定、エリアスはルーカスを作り出し、そして「謎のママ」を作り出しておひとりさまごっごを始めた。
エリアスがしてしまったルーカスの死
それよりも、彼自身にはわからないが、母までも死んでしまったことがより大きな幻覚を作り上げたのだろう。
エリアスは、幻覚のママに連れられて小屋に行き、そこで起きた出来事を再認識した。
しかし、それよりも夫大きな出来事が残っていた。
それが、解離性同一性障害となってしまったエリアスによって、母が自殺をしたことだろう。
この物語は、この母の自殺という核の外に、ルーカスを殺してしまった罪悪感がある。
つまり、物語の最後になっても、エリアスはルーカスの死を思い出すが、母の死は到底受け入れられないことを描いている。
そして明確な母を作り出した要因こそ、この別荘にきてしまったことなのだろう。
今までは父からどこか遠くにいると言われてきた。
しかし、別荘に母がいた。
幼い子供の心の傷
それはどれほど大きなものなのか?
この作品は、それを謎に掲げ心の傷の深さを描いている。
エリアスは焼け落ちた小屋を眺めている。
しかしやはり母が現れた。
ルーカスも一緒だ。
何ひとつ解決されない。
一旦負った心の傷
この深さは、何をもってしても解決できない。
この物語を作った人は、大きな心の傷をしっているのだろう。
何をしても解決されない、特に子供のころの傷
別の現実を頭の中に作ってしまうほど、子供にとって大きな傷は元には戻らない。
エリアスにとって、あの優しかったママは未だ健在で、隣にはルーカスがいる。
この現実こそ現実で、誰が何を教えようとしても決して「そんなこと」は信じない。
これがエリアスにとっての現実であるならば、彼はこのタイトルの言葉を何が何でも「おやすみ」としか受け取れない。
決して「さようなら」とは言えない。
この純真な幼い子供の心の傷に涙が止まらなくなってしまう。

R41