「日光嫌いの猟奇殺人鬼」ミュージアム akkie246さんの映画レビュー(感想・評価)
日光嫌いの猟奇殺人鬼
「るろう」「ハゲタカ」大友啓史監督の「プラチナデータ」「秘密」に続く刑事もの第三作。ワーナー・ブラザースとWOWWOW製作。まず地上波放送はない。
見ないでいれば気になる作品だ。「セブン」の衝撃を思い出させるような作品になっている。
かろうじて事件は解決しているが、後味はあまり良くない。サディズムの極致。死体鑑賞という悪趣味。
タイトルにひかれて見てしまった。
大友監督は、取材を重ねて、画面上にハエまで飛ばしたのだから、リアルな部分もあるのだろう。全体的には警察ドラマになっている。
以下、ネタバレです。私には難解すぎる作品ゆえ、書いておきます。詳細なストーリーはすでにいくつものWEBにアップされているようです。
かなりイカレテいる男。
幼少期に両親を惨殺されたという資産家の青年。ボクシングくらいはやっている体つき。こいつは、基本的には世間からずっと身を隠して生きてきた。霧島早苗という。
彼には双子の姉がおり、そちらはちゃんとした医師である。患者数が数百人はいると言われる「日光過敏症」の専門医のようだ。この辺りは最後までじっくり見ないとわからない。
第一の事件。数年前の少女樹脂漬け殺人事件。この裁判が裁判員裁判で裁かれ、冤罪で死刑判決が出た。容疑者は獄中で自殺。冤罪のせいもあるがこの事件の詳細は映画では一切明かされない。
真犯人は、裁判員裁判の死刑判決を出した裁判官や陪審員たちを私刑で裁いてゆく。それも相当酷い殺し方で。
多分、この作品がとても痛いのは、この私刑の残酷さもあるが、それぞれの罪に対応する罰の内容である。死に方は生き方でもあると断定するような。
1.飼っていた犬を捨てた罪=ドッグフードの刑
2.引きこもり青年=母の痛みを知りましょうの刑
3.健全な家庭で不倫をしていた男=均等の愛の刑
4.美魔女=ずっと美しくの刑
5.占い師=針千本飲ますの刑
6.仕事人間とその家族=お仕事見学の刑
美魔女は、私刑の対象なのか?
あと、巻き添えを食って蛙男に殺された西野刑事がかわいそうだった。
フィクション前提だが、霧島早苗という男の行動は、これだけのことを全部一人でやるには相当な知力と体力と資金力が必要。しかも周囲にバレないように短期間にすすめるのは都会では無理だと思う。田舎であったとしても、小さな罪でパクられないように全部の事件を起こすのは、至難の技だと思う。
腹を空かせたシェパード三匹を用意するだけでも苦労だし(飼っているのか)、沢田からカーチェイスで逃げ切り、トラックを運転して攻撃した攻撃力や身体能力や、監視するノウハウ、数々の造形能力からすると、ちょっとした超人である。
単なる引きこもりオタクではない。
しかし原作を読む気には全くならない。
後半、ジグソーパズルの場面すこしだれたが、狂気の時間だ。妻夫木聡の、ラストの顔が崩れる瞬間までの演技はすごかった。
海老入れないでと言ったのに、八宝菜に海老がはいっていてクレームをつけた中華料理屋の客がなんかリアルだった。八宝菜頼まなきゃいいのにね。
それか、あらかじめ海老を入れないように言わないと。