スポットライト 世紀のスクープのレビュー・感想・評価
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闇を暴く新聞記者たちの戦い。
『スポットライト 世紀のスクープ』鑑賞。
*主演*
マイケル・キートン
マーク・ラファロ
*感想*
公開当時に観に行こうと思ってた作品でしたが、観に行けず、ようやく観れました。
カトリック教会の神父が児童に対する性的虐待ーそして、その真実を看過していたというヤバいスキャンダルを新聞記者たちがその闇を徐々に暴いていく作品。
ただただ恐ろしかった。の一言。
記者たちがそのスクープを暴こうと決定的な証拠を掴む為、手当たり次第に関係者や被害者を当たっていくのですが、話す者もいれば、話さない人もいます。淡々と進んでいくので、眠くなりましたが、描写がリアルなので、ずっと緊張感がありました。
キャスト陣が豪華だし、実話だし、眠くなりましたが、巨大なスキャンダルに挑む新聞記者たちの戦いが細かく描かれているので、見る価値は十分にあると思います。
最後の終り方、僕は好きです。(^^)
十何世紀も続く巨大組織の隠蔽に挑む
「教会は人間が作った組織、信仰とは切り離して考えて欲しい」
というような台詞があったけど、まさにその通りかも。
信仰心は人を救うのかも知れないけど、それを金でも性でも利用するのは人間の欲。
被害者の証言は身につまされます。
記事にするまで、時間をかけて事件を裏取りする記者の地道な作業も伝わってきました。
ゴシップ記者も、こんな感じなんですかね?
教会の隠蔽体質に斬り込み、虐待被害者が声を上げられる切っ掛けになったのは、記者冥利に尽きる有意義なスクープだったんだろうな。
自分の無知故か、キリスト教では無いからか、そんな壮大なスクープなのに全然知らなかった。
しかも件の枢機卿はその後ローマに栄転するって…。
さすが十何世紀も続く世界中に広がる巨大組織、個人は裁かれ、組織は守られる。
その後何か変わったのか?、興味があるけど、自分で調べろって事で。
それにしても、この手の映画って「アンビリバボの再現ドラマで充分」って思ってしまうんですが、
本作は演出が良かったのか見応えありました!
知りたくないこと、知らなきゃいけないこと
新聞社に新しい局長が赴任したことで神父の性的虐待に関する取材を進めることになるスクープ欄の記者たち。
取材を進める毎に明らかになる受け入れがたい事実に彼らはその土地に住む人間として悩みながらも新聞記者としての使命に準じることになります。
キリスト教というもの、教会というもの、信仰というものなど日本人には馴染みがなく、理解しにくい部分が多々あるため、ボストンという立地も含めて正しく理解するには要求知識レベルはやや高いです。
過剰な展開は無いので記者たちが取材を地道に進める地味なパートが大部分ですがテンポが良く、飽きることはほとんどなく最後まで視聴しやすかったです。
神父による性的虐待の事件数からその隠蔽、処分など嫌な事実が沢山出てくるので胸糞の悪さはつきまといますが…。
自分自身が今の職業にやりがいや使命を感じているか、と言われれば否なのですが、この映画を観て自分の仕事にプライドを持つことの重要性やカッコ良さというものを考えさせられました。
あと、邦題がセンスの欠片もなくてクソ。
ジャーナリストの責任感
歪んだ信仰
カトリック教会の不正
とある新聞社に新しい局長が赴任してきた。
局長の命でカトリック教会の闇を暴くこととなる。
神父による児童虐待が起きていて、それを教会全体で隠蔽しているという実態がある。
スポットライトという特ダネを扱う記者たちはこの実態を記事にして教会の闇を明るみにしようと奔走する。
神父、被害者、弁護士に取材を試みる。
しかし、一筋縄ではいかない。
当時の苦い記憶がある被害者、倫理規定に違反するからという弁護士、教会に恐れて告発できない潔白の神父などみな一様に口が堅い。
こんな中、粘り強い取材でウラをとり、少しずつ証拠を集めていく記者たち。やがて、記事が公にされ教会の闇が暴露される。
思うに、教会とは名ばかりで実態は腐っている。少しの悪が、全体の善を覆い隠すという映画のセリフが印象的。世の中の権威の象徴に騙されずに、人間は欲のある汚い動物である、という一面が誰しも備わっていることを忘れてはいけない。
力作
90人ものクソ神父
神父による性的虐待を隠蔽してきた教会のスキャンダルをスクープした、ボストン・グローブ紙の記者の話。
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性的虐待をしている神父は全神父の6%を占めてるらしくて、この映画の舞台の地域では人数に換算すると90人。こんなにもいて、被害者も多いのにずっと表に出なかったのはのキリスト教徒の多いアメリカの複雑な事情。
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日本人の感覚だと分かりにくいかもしれないけど、本当にキリスト教を信じてる人にとって教会って神そのものみたいなもん。だからその教会に楯突くことって神を裏切ることになるらしい。
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日本でいったら寺の住職が子供にいたずらしてたみたいな事だけど、それを公表するからって神様を裏切るって思う日本人はいないよね。そこが文化の違いかな。
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あと地方の地域だと教会が日本の保育園みたいな存在で、家庭にいろんな事情がある子達は教会が面倒を見てくれることが多いみたい。映画中でもそこら中に教会が出てくるからね。恐ろしい。
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てかハルクじゃないマーク・ラファロ見たの初めてだな。
この…なんだろう…プリーストの…性癖って…
特定の地域だけでなく、世界的に起きていることが公になった、聖職者の性的暴行事件。
アメリカのメディアが調査を進めて公表しなかったら、今でも触れることさえタブーとされていたかもと思うと、恐ろしい。
しかも、枢機卿が揉み消しに一役買うとか…どうしょうもない!
神を崇める者にとっては、冒涜とも取られかねない(真実を暴く)行為。
真実を求めるジャーナリスト達だったからこそ公に出来たと思う。
元々神なんて酷く恐ろしい存在だし(私は無神論者ですけど)、結局 神に仕えているからどーのこーのじゃなくて、そのことを隠れ蓑にしてレイプするとかただの犯罪集団。
神も仏もあったもんじゃない。
それと、ふと思い出したのがエリザベス女王とバチカンによる大虐殺。
エリザベス女王的な人が、頭のおかしなことをするのは、なんとなく解る?気がするけど、バチカンが一緒になってこんなことするとは…それでも神を信じる人って……。
これぞドラマ。
人生のよりどころと社会正義の狭間
派手なエピソードを期待しているとつまらないかもしれない。
性的虐待自体が、被害にあった方の心を破壊する力を持つ犯罪。
その上に、自分の魂のよりどころ=親や、自分が信仰している神に最も近い立場にある人からの行為。
映画の後半に明かされる母の手紙が、その問題の深刻さを示していて絶句する。
カトリック教徒でない人からすると、たんなる巨大権力の闇を暴く作業であるが、
カトリック信者にとっては、自分達のよりどころに対する戦いでもある。
身近な人々に恨まれ距離を置かれても、成し遂げるべきなのか。
苦しむ人々を見捨てて、自分の保身・安定を選ぶべきなのか。
難しい選択。
たかをくくっていた事件が、徐々にその全貌を現してくる様。
それに伴って、変化してくる担当記者のモチベーション。
信仰と、職業倫理の狭間で葛藤する弁護士。
被害者の想い。
人間模様が丁寧に描かれている。
記者たちは、自分勝手な自己満足の正義を振りかざしているだけではない。
被害者の痛みに寄り添っている姿も胸を打つ。
だからこそのラスト。涙が出てきた。
(プリンセスクルーズ内劇場にて鑑賞)
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