スポットライト 世紀のスクープのレビュー・感想・評価
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ジャーナリストの責任感
真実と思いながら見ると、心苦しいところがありました。
教会という、日本では馴染みが浅い文化なので、真に理解はできていないかもしれませんが、手をつけてはならない領域に踏む難しさを感じました。
そして、なによりジャーナリストの徹底して執念や悪を正そうとする責任感が心打たれました。
こんなにも多くの事件があるのに、小さな声では届かず、大きな権力とは戦えない。。誰もが世界に発信できる現代で徐々になくなっていくといいなと思いました。
歪んだ信仰
カトリック教会の不正
とある新聞社に新しい局長が赴任してきた。
局長の命でカトリック教会の闇を暴くこととなる。
神父による児童虐待が起きていて、それを教会全体で隠蔽しているという実態がある。
スポットライトという特ダネを扱う記者たちはこの実態を記事にして教会の闇を明るみにしようと奔走する。
神父、被害者、弁護士に取材を試みる。
しかし、一筋縄ではいかない。
当時の苦い記憶がある被害者、倫理規定に違反するからという弁護士、教会に恐れて告発できない潔白の神父などみな一様に口が堅い。
こんな中、粘り強い取材でウラをとり、少しずつ証拠を集めていく記者たち。やがて、記事が公にされ教会の闇が暴露される。
思うに、教会とは名ばかりで実態は腐っている。少しの悪が、全体の善を覆い隠すという映画のセリフが印象的。世の中の権威の象徴に騙されずに、人間は欲のある汚い動物である、という一面が誰しも備わっていることを忘れてはいけない。
力作
90人ものクソ神父
神父による性的虐待を隠蔽してきた教会のスキャンダルをスクープした、ボストン・グローブ紙の記者の話。
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性的虐待をしている神父は全神父の6%を占めてるらしくて、この映画の舞台の地域では人数に換算すると90人。こんなにもいて、被害者も多いのにずっと表に出なかったのはのキリスト教徒の多いアメリカの複雑な事情。
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日本人の感覚だと分かりにくいかもしれないけど、本当にキリスト教を信じてる人にとって教会って神そのものみたいなもん。だからその教会に楯突くことって神を裏切ることになるらしい。
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日本でいったら寺の住職が子供にいたずらしてたみたいな事だけど、それを公表するからって神様を裏切るって思う日本人はいないよね。そこが文化の違いかな。
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あと地方の地域だと教会が日本の保育園みたいな存在で、家庭にいろんな事情がある子達は教会が面倒を見てくれることが多いみたい。映画中でもそこら中に教会が出てくるからね。恐ろしい。
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てかハルクじゃないマーク・ラファロ見たの初めてだな。
この…なんだろう…プリーストの…性癖って…
特定の地域だけでなく、世界的に起きていることが公になった、聖職者の性的暴行事件。
アメリカのメディアが調査を進めて公表しなかったら、今でも触れることさえタブーとされていたかもと思うと、恐ろしい。
しかも、枢機卿が揉み消しに一役買うとか…どうしょうもない!
神を崇める者にとっては、冒涜とも取られかねない(真実を暴く)行為。
真実を求めるジャーナリスト達だったからこそ公に出来たと思う。
元々神なんて酷く恐ろしい存在だし(私は無神論者ですけど)、結局 神に仕えているからどーのこーのじゃなくて、そのことを隠れ蓑にしてレイプするとかただの犯罪集団。
神も仏もあったもんじゃない。
それと、ふと思い出したのがエリザベス女王とバチカンによる大虐殺。
エリザベス女王的な人が、頭のおかしなことをするのは、なんとなく解る?気がするけど、バチカンが一緒になってこんなことするとは…それでも神を信じる人って……。
これぞドラマ。
人生のよりどころと社会正義の狭間
派手なエピソードを期待しているとつまらないかもしれない。
性的虐待自体が、被害にあった方の心を破壊する力を持つ犯罪。
その上に、自分の魂のよりどころ=親や、自分が信仰している神に最も近い立場にある人からの行為。
映画の後半に明かされる母の手紙が、その問題の深刻さを示していて絶句する。
カトリック教徒でない人からすると、たんなる巨大権力の闇を暴く作業であるが、
カトリック信者にとっては、自分達のよりどころに対する戦いでもある。
身近な人々に恨まれ距離を置かれても、成し遂げるべきなのか。
苦しむ人々を見捨てて、自分の保身・安定を選ぶべきなのか。
難しい選択。
たかをくくっていた事件が、徐々にその全貌を現してくる様。
それに伴って、変化してくる担当記者のモチベーション。
信仰と、職業倫理の狭間で葛藤する弁護士。
被害者の想い。
人間模様が丁寧に描かれている。
記者たちは、自分勝手な自己満足の正義を振りかざしているだけではない。
被害者の痛みに寄り添っている姿も胸を打つ。
だからこそのラスト。涙が出てきた。
(プリンセスクルーズ内劇場にて鑑賞)
社会的に価値があるアカデミー受賞
事実に基づいた映画
ペンと剣
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