スポットライト 世紀のスクープのレビュー・感想・評価
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知っとくべきこと、映画であること
アカデミー賞作品賞受賞作の「スポットライト」悪くはないし、アメリカのカトリック教会の恥部を曝け出したメディアの様子を淡々と描いている。世に広く知られるべきことであるという意味で映画にした意味はある。しかし、映画としてはどうなのだろう。実話に基づくアカデミー作品として思い浮かぶのは「シンドラーのリスト」。こちらは今回の作品より胸に響いた。実話に基づく話は難しい面もあると思うが、人間ドラマや映像美など何か映画で伝えやすい要素が無いと、満足感は得にくいと思う。
教会の歴史は何百年?
2016年アカデミー賞作品賞受賞作である。
ボストングローブ紙のスクープにまつわる話である。
トム・マッカーシー監督の演出はドラマチックに見せようというような、いわゆる演出めいたことはせず、淡々と事実を積み上げていくそんな風に見えた。
象徴的だったのは、サーシャ(レイチェル・マクアダムス)が当の神父にぶち当たったときの神父の受け答えである。たいへんなことを告白しているのに、画面はあまり動揺を表さない。サーシャが衝撃を受けているのはわかるが。
被害者の告白などがもっとあるかと思ったが、ほとんどが記者の伝聞という形で我々に伝えられる。心理療法士が神父の6%が小児性愛者というのだが、彼は電話でしか出てこない。
ボストングローブ紙は端緒をつけただけで、最後の字幕で全世界で神父の虐待があったことを示す。
この記事が出たときのボストンの枢機卿は、ローマの最高機関に移ったとも。
最初の記事が出て、信者のデモがあると予想していた記者たちだったが、その反響は。
恐ろしい話である。
難しいが考えさせられる。不屈の精神が暴いた驚愕の真実。
【賛否両論チェック】
賛:強大な権威の下で隠されてきた虐待を、不屈のジャーナリズム精神で暴いていった記者達の根性に、本当の正しさについて考えさせられる。
否:難しい内容の話が多いので、理解出来なかったり興味がなかったりすると、退屈すること必至。性的な単語も結構出てくるので、人によっては好き嫌いが分かれそう。
地元に深く根付き、信仰者も多数を占めるカトリック教会の不祥事とあって、誰もが薄々感づきながらも見て見ぬふりをしてきた事件を、記者生命を賭けて暴いた主人公達の不屈の姿勢が、淡々とした描写の中で、現実感たっぷりに描かれていきます。変に脚色感があまりないところが、かえって事件の不気味さや底知れなさを際立たせているようです。
反面、どうしても法律上の手続きの話が分かりにくかったり、同じような取材のシーンが続いたりするので、興味がない人にとってはかなり退屈で、参ってしまうと思います。
時に逆風にさらされる中でもめげずに、自らが信じる道を進み続けた者達の真実の姿を、是非観てみて下さい。
淡々と
ドラマティックに演出せず、事実の姿を描いてるような映画。
だから少し見せるような物がないのかもしれないけれど、事実を十二分に考え感じさせる話。
だから絵的に派手さはなくても大事な台詞は記憶に強く残ります。
マイケルキートンは良いキャラを醸し出す。
スポットライトのチームは、勇敢に力強く、自らの役割を全うした。 一...
スポットライトのチームは、勇敢に力強く、自らの役割を全うした。
一見地味に見える作業も、隠蔽された真実を公にするためには欠かせない。
家族と離れ、寝る間も惜しんでスクープを追う記者たちの姿に圧倒された。
「記事にしなかった時の責任は?」
この言葉が最も印象的だ。
カトリック教会は社会全体に影響を及ぼす存在であり、その教会による罪を社会に知らせないのは正しくない。
記者たちの判断力と行動力に脱帽!
最後まで胸くそ悪さが残ることが素晴らしい
ボストンのカソリック教会の幼児への性的虐待を新聞記者が暴く実話を基にした話。
新聞記者が取材をしたり、資料を漁ったりするばかりで派手なシーンがないのだが、まぁ最後までハラハラさせられる。
細かな取材をしている新聞記者同様に1シーン1シーンを丁寧に仕事により、映画というものはアクションが無くても画面に映っているものが『アクション』であり、全てアクション映画だと言わんばかりの映像作品だった。
登場人物の想いが口より所作に出ており、それを見ているだけでハラハラするし、徐々に幼児性的虐待の真相がここの問題で無く立体的はシステムとしての問題として浮き上がり、息もつかせなかった。
しかし、息もつかせないまま真相が明らかになっても、胸クソが悪い。それは現実がまだ改善されていなかったり、この問題が氷山の一角ということをマザマザと知らされるせいだ。
しかし、その胸くその悪さを告発したことがこの映画の素晴らしさなんだろう。
あってはならない聖職者の性的虐待と勇敢に闘うアメリカの底意地を感じ...
あってはならない聖職者の性的虐待と勇敢に闘うアメリカの底意地を感じる骨太な作品。
あろう事か教会。その腐った事実を、組織ぐるみならではの恥部を、子どもを育てる多くの大人に知らしめるという娯楽を超えた責務を、本作は担った。
天下のマッドマックスを差し置き、獲得したアカデミー作品賞の役割。
「子どもを育てるものは虐待もする」という被害者ならではの肉迫した台詞の重み。
精神医学を見据えた手の込んだ性的虐待の悍ましい現実。
マスコミという汚仕事を刷新。
どんな仕事であれ熱意と確かさを持って、その上で仕事をしてる人間が、アメリカに、そしてどこの業界にもいる。
それぞれの立場というものを抑えつつ、誠実な人間が集まり、仕事のスタンスを過剰演出する事なく表現。
チームワーク、リーダーシップ。誰もが忘れたくないというカテゴリーで忘れられない作品になりそう。
疑問点も
事実に基づいた作品と言うが冷静に内容を見ると,描いた内容はあくまでもボストングローブ社の「取材を通しての主張」だけでは?教会の神父が幼児に性的行為を行ったとする「決定的な証拠」が無いのでは?そこも描いて欲しかったので,少し期待外れ。訴訟社会の米国らしい映画ではあるけど。
【正義について再び】
全くジャンルは異なるんですが、この前観た『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』に感じた「正義ってなんだろうね」と同じように考えさせられる映画でした。
教会の正義と報道の正義、それに翻弄される人々。自分がどこの立ち位置にいるかによって、見える世界も守るものも変わるのだろうな。
脚本が素晴らしいんだろうなぁ、最初から最後まで惹きつけられっぱなしでした。
蛇足:エンドロールに脱字があったような。撮影監督の「Masanobu Takayanagi」が2回流れるんだけど、うち1個が「Masanobu Takayangi」となっていたような。これを確認するためにもう1回観たいぐらい。
神父という職業
神父の6%(?)がそういうことをするというのは確率として高く、毎週末教会に行っているようなアメリカのファミリーのこの内容の受けとめ方は、日本人とは違うものがあるのでしょう。
"現象"と確か言ってたが、神父に課せられる規定や期待される役割が、どう今回問題となった行為に結びついているのか、知りたいと思いました。
美味なれど薄味。
渋さが魅力の俳優たちの演技合戦でお腹いっぱいになれる一本。
最後まで緊張感途切れることなく観られたのは、復活のマイケル・キートンやいつも観る度に「この人スゲェ!」と思わせる(要は地顔の印象が薄い笑)マーク・ラファロ等々の力だと思う。
但し、ショッキングな実話題材を扱いながらも驚くほど展開の起伏を欠き地味。
ドラマチックな要素がかなり薄いので、アカデミー賞(作品&脚本)を期待すると見事に裏切られるので注意。
閉鎖的な環境では、良識も常識も呑み込まれてしまうという恐怖と社会問題的側面は描かれているが、映画的エンタテインメント的要素はほぼ無し。
その点では同じような実話ベースの勧告映画「トガニ」の方を強くお勧めしたい。
渋い役者の熟練の技を堪能する作品。
深い内容でした
上映中セルフ一つも漏らさず集中して鑑賞しました。後半の記事の裏どりも終わりチームでミーティングしてる最中から最後まで涙が止まりませんでした。チームのリーダーの気持ち、そして被害者の気持ちや家族の気持ち映画に出ていたすべての役の方の気持ちなどが私の魂を揺さぶりました。最高の脚本、作品だと思います。
派手さはないが感動しました。
信仰の文化が浅い国には、事の重大さがきちんと伝わらないかも知れない。
カトリック教会の権威と権力は自分達には分からないけど、世界中で小児性愛者はどれだけいるんだろう。
この強靭な組織に立ち向かいこれだけの事をやれたのは、新しい編集長のおかげだったと思う。
彼がどんな人なのかもう少し教えてほしかった。
ラストはジワジワ胸が熱くなって、ボロボロ涙か溢れました。
嘘のような実話が沢山あるんですね。
これは他人事ではない
キリスト教文化圏外から見ると、それほどの驚きにはならないのかもしれないが、これは他人事ではないことだ。
小児性愛者が世の中含めて一定数いるのは仕方ないにしても、それが権力を与えられた場合、必然的に性犯罪が起きてしまうという構図と、それを暗黙的に許している組織があることが脅威である。
信仰と組織は分けて考えなくてはならない、というのは、そうなのだろうし、そう考えなければ、彼らはやっていけないのだろう。
ただ、主人公が正しい側、というのも違っていて、今まで自分たちが実は、真実を埋もれさせていることに気づいたり、故意ではないにしろ悪を擁護する形になっていたことも発覚する。
また、特ダネということでもあり、商業的な成功をつかむために、裁判資料の公開日を遅らせようとしたりと、かなり手前勝手な部分も描かれている。
真実は「この眼で見るまで」わからない
西欧諸国、特にアメリカ合衆国で「ゴッド」「神」の威光を背後に見せるものは、絶対的な権力を手にする。
何をやっても許されてしまう。
「すべては神の御意志だ」といえば「つじつま」があってしまう。
それは「正義」にも姿を変える。
国同士が「正義のために」「神のために」時には戦争で、人を殺すことさえ「神の祝福」が与えられる。
それに比べれば、神父が子供達に、性的ないたずらをするのは「神の側」である協会側にとっては、きっと取るに足らないことなのだろう。
こどもたちのその後の人生に、一体どのような、大きな痛手と苦悩と影響を与えようが、知ったことではないらしい。
全ては「神の御意志なのだ」で済ませてしまう。
そんな、驚くべき「タブー」が、ようやく世の中に知らされたのが21世紀に入ってから。ついこの間のことなのだ。
それ以前、この問題が表に出なかったこと自体、驚嘆すべき出来事だ。
その教会の「タブー」を報じたのは、アメリカの地方新聞「ボストングローブ紙」である。
本作は、その真実の物語を元に、記者や、裁判に関わった弁護士たちの人間群像を描くものである。
本作は「アカデミー作品賞」を受賞している。
それは、このカトリック教会に潜む「腐りきった根っこ」を、世間の目にさらすという、途方もないインパクトを、アメリカ社会に与えたことにあるのだろう。
なぜいままで、この問題を新聞報道しなかったのか?
なぜ、いままで誰も、この問題を映画化しなかったのか?
うがった見方をすれば、本作を「アカデミー受賞作」に祭り上げることで、ハリウッドや映画界、マスコミは、自分たちへの火の粉を防ぐ「ファイヤーウォール」あるいは「免罪符」にしているのではないか? とさえ思ってしまった。これはあくまでも私の個人的意見である。
ただ、本作でも描かれているが、神父の子供達への性的虐待については、早くから報道され、裁判にさえなっていた。
しかし、記事の扱いはごく小さなものであり、裁判沙汰もうやむやになってしまっていた。その被害者の子供達を守った、弁護士役を演じるのがスタンリー・トゥッチだ。
私が本作で最も心惹かれたのが、この役者さんの存在感だった。
彼はトム・ハンクス主演の「ターミナル」
https://www.youtube.com/watch?v=KoVxGKFDCjU#t=153.083107
や「プラダを着た悪魔」
https://www.youtube.com/watch?v=x9OIvwy5YV0
それにアメリカでリメイクされた「Shall we Dance?」
https://www.youtube.com/watch?v=hoHrIxIQXZM
で抜群の演技を見せてくれた。
本作では、カトリック教会の「大罪」を告発したが、それを圧力によって封印されてしまった過去を持つ、気難しい弁護士を演じる。
彼の演技プラン、人物造形は実に見事だ。
彼はボストングローブ紙が、協力を要請してきても、最初は全く協力しようとはしない。
「相手は”カトリック教会”なんだぞ! 君たちが勝てる相手じゃない」
ボストングローブの熱血記者はそんな彼に対して
「今も、罪のない子供たちが、神父の餌食になってるんだ」
「たとえ”ヴァチカン”に乗り込んでも、この事実を暴いてみせる!」
そうなのだ。この衝撃の事実は、実に根深い。
なお、私も含め「日本人」は、宗教について、さほど強い関心を示さず「無神論者」を決め込んでいる人が多い。
また宗教こそ「人生の道標なのだ」という人は少数派だ。
しかし……。
アメリカという国では、子供の頃から宗教教育を叩き込まれるのである。以前「りんぼう先生」こと、林望さんの、イギリス留学中のエッセイを読んだことがある。
意外にもイギリスでは、それほど信心深い人は少ないという。
りんぼう先生は、イギリス留学時代、古いマナーハウス(中世ヨーロッパの領主邸宅)に滞在していた。
(ちなみに滞在費は結構安いらしい)
そこに、あるアメリカ人女性が滞在していた。彼女はある日、ラッキーな出来事があり、感激のあまり、庭先で神に感謝を捧げていたらしい。それを見つけたマナーハウスの女主人。
走り込んできて、そのアメリカ人女性に放った一言。
「やめてちょうだい! そんな馬鹿げたこと」
「りんぼう先生」はその一部始終を目撃しているのである。
アメリカとヨーロッパでは、キリスト教に関するスタンスが、どこか違うらしいのである。
宗教にしろ、政治にしろ、巨大な権力は、どこからか腐敗が始まる。
それは世の常といったところかもしれない。
かつて日本でも、田中角栄氏が逮捕された「ロッキード事件」があった。
そのきっかけとなった、立花隆氏の文藝春秋レポート記事「田中角栄研究」
その後、他の新聞記者たちは、田中逮捕後に、悔し紛れにこういったという。
「あの程度の情報は、俺たちはとっくに掴んでいた」
だったら
なぜ記者は記事を書かなかったのか?
なぜ総理大臣の不正を暴こうとしなかったのか?
私には忘れられない、出来事がある。
「心の友」とでも言うべき、敬愛してやまないネット作家がいる。
その方が2012年6月23日
「大変なことが起こってます!すぐにこの動画をみてください!!」
とメールを送ってくれた。
私はすぐにリンク先の動画をみた。その動画の撮影者はタクシーに乗り、ゆっくりと首相官邸前を車で一周した。その先に映っていたのは……。
断固とした姿勢で首相官邸を取り囲む「一般市民たち」の姿だった。
https://www.youtube.com/watch?v=rdkTDjHXUkU
「一般市民が首相官邸を取り囲んで抗議行動をした!?」
これは日本という「国家を揺るがす」とんでもないニュースだと思った。
新聞の一面トップを飾ってもおかしくない出来事だ。
私は翌日、朝一番のテレビを見た。
どの局も首相官邸で起きていることを報道しなかった。
私がこの事実をメールで初めて知ったのち、テレビ及び新聞などのマスメディアは、一斉に沈黙した。
その間、実に「一週間」
真実を報道するべきはずの「新聞・テレビ」は、一切、固く口を閉ざしたのだ。
首相官邸で実際には何が起きていたのか?
誰も何も言おうとはしないのだ。
あきらかな「箝口令」である。
私はこの国が恐ろしくなった。
「大本営発表はまだ続いているのだ……」
そうだ。それは”記者クラブ”という名に変わっているだけなのだ。
私たちは、何を信じたらいいのか?
自分の目で見つめること。
自分の眼の前で起こっていること。
その事実を淡々と受け止める、心の準備をしておこう。
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天見谷行人の独断と偏見による評価(各項目☆5点満点です)
物語 ☆☆☆☆
配役 ☆☆☆☆
演出 ☆☆☆
美術 ☆☆☆
音楽 ☆☆☆
総合評価 ☆☆☆
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作品データ
監督 トム・マッカーシー
主演 マーク・ラファロ、マイケル・キートン
スタンリー・トゥッチ
製作 2015年 アメリカ
上映時間 128分
予告編映像はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=h8TwCzA59Lg
マークラファロの演技にグッときた!
実話ベースで教会という巨大な不可侵システムに立ち向かうというところでまず興味をそそられる。
協会側の内幕は全く映像で見せないところがいい、実際にわからないだろうし。
隠蔽する気持ちもわかるし、怒り闘おうとする気持ちもわかる。
当事者にならなかったことを幸せと思うことに罪の意識を感じさせる作り方には感服。
マークラファロの怒りの演技もよかったが、マイケルキートンの終盤の演技もよかった。
観てよかった。
いいドキュメンタリー
2001年、もう大学生だったはずなのに、全くこのニュースを知らなかった。
エンドロールで流れる都市の多さに驚きつつも、淡々とこの映画を観れてしまうのは、やはり私がカトリック信者ではなく、また無関心な日本人だからだ。
このニュースだけではなく、もっと知っているはずのニュースがあるはずなのに、ニュースになり、知る機会があるものも、ほとんどしらないまはま、無関心で生きている
当時のニュース、調べてみよう
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