「淡々として丁寧」スポットライト 世紀のスクープ fall0さんの映画レビュー(感想・評価)
淡々として丁寧
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絶対的なヒーローも悪者もいなかったのが好き。
ジャーナリスト側の命題は"スクープをあげる""新聞を売る"ことだから、打算がちらつくし、被害者の心情に寄り添えない場面もある。もちろんそれだけではなく、悪事を放置したくない情熱も本物なんだけど。
教会は教会で、組織としては完全にブラックなんだけど、一個人に目を向けていくと、そもそも神父が性的虐待を受けていたり、立場上教会を庇わざるを得なかったり、「コテコテの悪人っぽさ」がない。
映画化する時に、もっとエンタメっぽく「正義に燃えるジャーナリストvs巨悪のカトリック教会」とはしなかったところに、丁寧さを感じた。
マイケルキートンは、バードマンが凄く良くて印象的だったけど、今回も良かった。過去の汚点を前に疲れ切って立ち尽くすおじさんの顔が最高。
「教会の恐ろしさ」って実質的な権力ももちろんなんだけど、人の心の拠り所で原点だという点なのかなと思った。主人公が泣きそうな顔で「年をとったらまた教会に戻るものだと思ってたのに」って言ってるシーンが印象的だった。親の汚点を直視するような辛さかなぁ。
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