「誠実に徹して地味になり過ぎたかもだけど。」スポットライト 世紀のスクープ だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
誠実に徹して地味になり過ぎたかもだけど。
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地味、なんでしょうね。何かが起きるわけでもなく、事実を時系列でなぞっただけ。
そういわれたら、違うとは言えない。
でも、この事実の重みと、地元紙の記者が、自分の文化の悪しき点を明らかにする苦しみ、被害者の苦しみがよく伝わり、とてもドラマチックだったと思います。
性犯罪の何が辛いって、被害者を責める風潮があることです。誘ったんだろうとかいう声なき声が被害者をさらに責める。
特にこの場合、地域の信仰の拠り所である神父が、尊敬されるべき存在である神父が犯した卑劣な行為なわけです。それを、ノーと言いにくい事情のある子供を選んで、自分の行いが露呈しないように相手を選んで、ことに及んでいたわけです。
被害者は、培った良心から加害者を憎むことさえできなくて、自分で自分を責めて、生きていけなくなった被害者も多い。
生き残った被害者も、未だに、その過去に苛まれている。
そういったことが、強く胸に迫り、怒りと憤りを噛み締めながら見ていました。
教会の過ち、それから黙殺してきた地域の過ちを悔い、正そうとする記者たちの真摯な姿が丹念に描かれています。
無関心でいることや、権威や既存の価値観の見たいところだけを見ていては、自分も誰かの悪魔になり得る。その警鐘として受け取りました。
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