「主人公たちの蚊帳の外感がハンパない」BLAME! pippo9さんの映画レビュー(感想・評価)
主人公たちの蚊帳の外感がハンパない
原作未読でネットフリックスで鑑賞しました。
最近の日本のアニメ映画は全く観てなかったのですが、アニメの技術のレベルの高さには驚きました(普段から観られている方からすれば、何を今更、という感じかも知れませんが…)。特に、爆発時などの煙の表現のレベルが高い様に感じました。
ただ、ストーリー面に関して、感情移入できそうなキャラが「づる」しかいないため、当然この子が主人公なんだな、と思いながら鑑賞していったのですが、どうもこの子が何か主体的に行動する展開が全く無く、常に無口男と白髪女の言いなりになっているので、ストーリーの語り方としてはかなり失敗していると思います。
このストーリーを言い直すとするなら、「神々の戦いと、それを眺めるだけしか出来ない人間たち」。
人間たちは無口男と白髪女との「神々の会話」に入り込めず、ピンチになると必ず無口男か白髪女に助けてもらってばっかりで、食糧難もこの2人のお陰で解決してしまう。
おい、人間たち!このチートキャラ2人に頼りっぱなしで、お前ら少しはプライドとか持っていないのか!?
ラスボス女に対しても、当然の如く人間たちが敵う訳も無いので逃げ惑い、戦うのはそこまで人間たちに対して恩義は無いはずの無口男。無口男と人間たちの交流が全く描けてないので、映画の最後までどうしてそこまで無口男は人間たちを助けたがるのか理解できませんでした。
このストーリーを成立させるには、少なくとも無口男の視点で描くべきだったのではと思います。
セリフによる説明台詞も多かったです。人気声優さんの声は多く聞かせてあげたいのかも知れないけど、日本のアニメはもっと喋りを減らして演出で語る術を身につけるべきだな、と実感しました。
設定といいビジュアルといい、攻殻機動隊やマトリックスなど一昔前のSFの感じがしました。ネットフリックスオリジナル作品ということもあって、何か新しいものを期待していたのですが、既視感に溢れた作品でした。