虹色★ロケットのレビュー・感想・評価
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そのポテンシャル、驚愕につき
家庭用ビデオカメラで撮影されたとおぼしき映像なので、何となく往年のAVを連想させる映像だが、これを高校生が制作したのだから驚きに値する。確かに編集の甘さなど幼稚な部分が見え隠れしているが、それをカバーしてあまりなく、きちんと人に観せる作品としての完成度を実現させての内容である。伏線の回収や、漫画的楽屋オチ等も差し込みながらの、全体を通しての哲学的な思想が筋を通していて、とても観やすい出来映えである。登場人物のそれぞれの生い立ちや過去を丁寧に説明されているから、好感を持てる内容である。そんな中で、大人達の演技のダメさ加減が如実に現われていて、非常に残念であった。それ程若い人達の瑞々しい演技が映えていた。監督の将来性を高く評価したい。
追記:『命』というテーマでの教育的見地からの学校協力での撮影らしいのだが、制作陣の並々ならぬ哲学的素地の高さが浮き彫りになっている。未だ壁を乗り越えられずにいる少女の自殺願望の理由が、自己否定を拗らせてしまっていることから、友人達の救いがさっぱり及ばない。そんな中でファンタジーの力を借りて、その女の子が克服してゆくこと、そしてその力のせいで自己犠牲の上に、友人達から消えてしまうことを厭わない勇気ある転校生。確かに直接的にこれが教訓になることはない。そんな非現実性の中に、きっかけはそれぞれだけど、一人では辛い状況もかけがえ無い友人達との関係の中で奇跡が起こる可能性を示唆しているのだろうという想いが伝わる内容である。決して教材ではないので答えは教えない、否、制作者達自身も答えは分からないのだろう。そのモヤモヤ感を、ファンタジーや漫画的要素にして、論ずるテーマを提示した事は素晴らしいと感じる。この自殺願望の女の子に非常に強いシンパシーを感じてしまった自分なので、熱い想いで鑑賞させてもらった。 人は自己を犠牲にして助けることで又命をリレーするのだ。。。
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