「エイリアン・オンデマンド」エイリアン コヴェナント ao-kさんの映画レビュー(感想・評価)
エイリアン・オンデマンド
リドリー・スコット監督が2作目以降のエイリアンに否定的なのは知っていたが、2作目が最高傑作だと思っている身としては、なかなか理解しがたいことだった。なぜなら2作目は純粋なモンスター・パニック映画としては傑作だったからである。
だが、今作を見てそのコメントに合点がいった。どうやら監督が意図するエイリアンはモンスター映画ではなく、生物の果てない欲求、ともすると“キリスト教の七つの大罪”を描くことにあるようなのだ。思えば、1作目だってエイリアンを生物兵器に使おうとする人間の強欲や傲慢が悲劇をもたらす物語であったし、そう考えるとエイリアンが色欲や暴食のイコンであったと解釈できる。それ故に、エイリアンの生態を暴き、モンスター映画に位置付けた全ての続編に否定的なのは納得ができるようになったのだ。
もともとはこの欲求というテーマを一貫させたかったのだろうが、エイリアンがモンスター映画として捉えらているからこそ、前作「プロメテウス」はイマイチな評価しかされなかった。その意味では今回はきっちりとエイリアンを登場させ、アクションシーンも用意した。2作目や3作目と思わせるアクション演出にこそ「あれ、続編否定してなかったっけ??」と苦笑してしまったが、恐らくはこれはファンサービス。監督が描きたいものを描くために、あえてエイリアン需要に応えたと考えた方が良いのだろう。“黒ひげ危機一髪ゲーム”的に飛び出すフェイスハガーなど、お決まりの展開を入れつつも、ちょっと新しい演出も交えながら、エグいシーンはとことん残酷に描き、モンスター映画としての新展開も楽しめる。
しかし、今作はあくまでも「プロメテウス」の続編という位置付けで観た方が良い。生物とは何か?アンドロイドと人の違いは何か?というところに作品の重きがある。監督の意図するところを理解できるか、はたまたモンスター映画として需要に十分応えているかで今作の評価は大きく異なるところだろうが、僕はそれでもやっぱり2が好き!