「未来子さんの正体論」ふきげんな過去 ウシダトモユキさんの映画レビュー(感想・評価)
未来子さんの正体論
二階堂ふみを中心とした演技のアンサンブルを観てるだけでも楽しいし、
それなりのオフビートなホームコメディとしても面白いです。
でもね、
小泉今日子(未来子)の正体はワニ。
っていうオチの解釈から逆算して映画全体を振り返ると
すごくイイ映画だなと思いました。
幽霊かって思わせておいて、傘で刺したら血が出た。
幽霊じゃなかったら何か?
ワニでした。
「潜伏」ってまんまの意味か。
「弱ってた」のは傘で刺されてたからか。
「運河なんかにいるわけないと果子が探したから」
小泉今日子の姿になって現れたんだろうなー。
「野村さん」の出身地エジプト、最後の目的地はシナイ半島。
ナイル川でくくれば、ナイルワニの故郷。
古代のエジプトではワニは信仰対象で「神の使い」であったそうな。
死んだと思ったワニが、ラストでどっこい生きていた。
つまらない人間たちを蹴散らして、
また「ここではないどこか」に行くのでしょう。
『ヤング≒アダルト』のメイビスが、ミネアポリスへ帰っていくラストを思い出しました。
「自分の娘を殺人者にはしないよ。」という約束も守ってみせた。
そんなワニの姿に、二階堂ふみは“親の背中”を見て、
笑顔になったのではないでしょうか?
思春期の破壊的衝動の象徴として爆弾やワニがあるんじゃなくて、
「ないと決めつけて未来を閉ざす生き方はつまんないよ」と、
ややエキセントリックなやり方で教えてくれてるんじゃないか。
そんなふうに思えた映画でした。
先日テレビ放映で鑑賞しました。
この作品の様な雰囲気や
世界観が好きで「面白かった」
と、ただただ笑顔だったのですが
こちらのreviewを読ませて頂き
「そういう解釈ぅ!!」と
更に面白かった×2で
笑顔倍増デス。
有り難う御座います。
中々自分一人では消化できない作品だったので、納得できました。小泉今日子がワニであったという説もとても強いですね。全然気づけませんでした。(人ではないとわかっていましたが)
結局、ワニが小泉今日子に化けて果子の前に出てきたということでしょうか?やすのりちゃんの正体も謎のままで…。なんとなくすっきりはしませんが、面白かったです。