ディーパンの闘いのレビュー・感想・評価
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活劇
Toho cinemaで「ディーパンの闘い」を観る。内戦から逃れたスリランカの男と女と少女の他人の三人が家族を偽装してフランスに入国する。
最初三人はひたすら自分の命を守り生き抜くことしかなかった。やがて苦楽を共にするうち三人に夫婦・親子のような愛情が生まれる。そして主人公の男ディーパンは「妻と娘」のために闘う。
最初フランス国内にこんな無法地帯はないだろうと荒唐無稽な感じがしたけれど、昨今のシリア・イラク難民の流出の報を思い直すとこれが現実に近いのかもしれない。三人が生き抜き幸福そうなラスト…少し出来過ぎな感じがしないでもないが、これは島国に住む自分が「難民も生身の人間だ」と気づかされる映画でもある。
暴力から逃れてきた「家族」が、逃避した先でまた暴力に巻き込まれる不遇
TOHOシネマズ西宮OSで映画「ディーパンの闘い」( Dheepan)を見た。
2015年・第68回カンヌ国際映画祭で
審査員全員一致で最高賞のパルムドールを受賞した作品らしい。
それ以外には作品に関する予備知識を持たずに出かけた。
TOHOシネマズ西宮OSでは午前中1番の上映が9時上映開始だった。
TOHOシネマズ西宮OSのシアター12はやけに収容人数が少ない劇場だったが、観客の数は10に満たなかった。
我々夫婦以外は全員が年配の男性だった。
監督はジャック・オーディアール。
かなり著名な人らしいが、その作品を見たことは一度も無い。
物語はスリランカの内戦直後から始まる。
主人公の名前はディーパン。
難民としてスリランカから海外に脱出するためには、
ひとりきりでは出国許可が出ない。
それぞれ事情がある夫、妻、娘、3人が偽装家族となって難民船に乗り込む。
到着したのはフランス。
劇中の台詞はタミール語とフランス語である。
移民局の審問ではタミール語の通訳が彼ら偽装家族に手助けをする。
運良く集合住宅の管理人の職についたディーパン。
集合住宅の一室でメイドの職を見つけた妻。
慣れない学校生活で心傷つく娘。
それぞれの生活が始まる。
集合住宅では他の移民たちが薬物の売買を手がけたり、
日ごろから暴力事件や拳銃の発砲事件が起こり、
3人は殺伐とした環境で暮らすことになる。
暴力から逃れてきた「家族」が、
逃避した先でまた暴力に巻き込まれる不遇が描かれる。
しかし、そのような生活の中でニセモノの家族だった3人が、
だんだんとホンモノの家族になっていく。
ストーリーは次の展開が読めなくて、
飽きさせることは無い。
そんなある日、大事件が起こる。
ドイツ、フランス他ヨーロッパでは移民問題が小さくない規模で現在進行中であることから、時事的な評価も加わって好評価となったと推測できる。
上映時間は115分。
満足度は5点満点で4点☆☆☆☆です。
逃れた先でも波瀾万丈。
スリランカ内戦の兵士が、他人である女と子供と共に偽装家族として難民申請をパスしてフランスで生きるお話です。すこし幻想的でちょっとバイオレンスで、せつないお話です。
説明的な描写は少ないので、スリランカ内戦の予習は絶対いるでしょう。
私も全くの門外漢ですが、予習しないとちんぷんかんぷんだろうと踏んでホームページを熟読してから見ました。なのでなんとかついていけました。
ディーパンたちが与えられた住処にいた、不良たちはヨーロッパ系にしか見えないのですが、移民とゆうてましたよね。アフリカ系も多少いらっしゃったけれども、アラブ系はほぼ見受けられずな印象。トルコ系のイスラム教徒というせっていなんでしょうか。
ディーパンとヤリニが肌を合わせるだろうことは自然の成り行きに思えます。
ヤリニは26ってゆってたし、働き先の家の不良にちょっと惹かれるのもわかります。
娘ちゃんの「ほかのお母さんみたいにキスして」って気持ちもわかります。
ヤリニが時々とても艶っぽくてどきどきしました。
全体的には切ないなぁと思って見ていました。
故郷の内戦にそれぞれが傷つき、命からがら逃げてきた先でも、暴力に巻き込まれるのが、やるせないです。
でもよくありそうだなとも。
自分の気持ちはもう変わっていても、かつての属性に振り回される理不尽さ。一方で、難民申請が通ったのは、かつての属性のおかげであり。嗚呼、ままならない!
ディーパンがヤリニを助けるために再び人を殺す辺りは、怖かったです。とても。
人は暴力から自由になることはできるのだろうか、という思いが残りました。
ラストで擬似家族が本当の家族になっていた事は良かったねと思う訳ですが、それだけではいけないとも思います。
タクシーの運転手になったんですかね。
あの車種はイギリスかなーとかおもいました。
実子だけでなく、偽の娘も本当の娘として大切にしてあげててほしいなとおもいました。
パルムドールにしては娯楽性含めて見易い
これは今までカンヌに苦手意識がある人でも見られるかなと思う。
娯楽性が意外に高く、淡々としながらも力強さで引っ張っていく。
少なくとも後半から目が覚める人は多いんでないかと思う。
ただ自分が見た中でのパルムドール作品としては印象は薄いかな。
前半だけちょっと眠くなったのは否めないし、ドラマ性も薄くはなく深いんだけどもうちょっとほしかった所。
クライマックスの派手さも賛否別れると思う。
しかし、パルムドールとしてちょっと納得な作品でもある。
今を描いているし、移民の現実を描いている。
ちょっと調べてみると劇中での話は映画だけの話ではなく、実際に移民が住む場所があり、そこでは貧困が原因で治安が悪い場所があるという。
だから、暴力のない場所に逃げても平和に普通に暮らせてはいない移民の姿が今作には描かれている。
カンヌでラストに賛否両論があった訳だが、事実を知ると今作は移民が平和で普通に暮らせることを願う作品だと思うと納得だし、そこには愛がある。
だから、パルムドールはちょっと納得の受賞。
作品の出来云々はともかく、そういう位置づけとしては大変意義のある作品だと思う。
不満はあれど見応えのある作品で光の使い方がとても綺麗で劇場向きだし、移民について少しでも知る良いきっかけになるのでぜひとも劇場でご鑑賞ください。
内戦下のスリランカから脱出したフランスも、けして安楽の地ではない
ディーパンの経歴がものをいうのか、細かい仕事も得意だし、よく働く。そして、邦題に「の闘い」がつくわけが、終盤にわかる。
僕にはディーパンが、リーアム・ニーソンに見えてきた!
偽物だった家族が、いたわりの気持ちをもつ本物の家族になったラストに涙。
衝撃と妖艶と美徳の融合
スリランカの近代事情を多少把握していないと理解できないかもしれない。一般常識的な知識でよいので、知らなければ予習必須。
そうはいっても、最近のニュースなどで移民だのテロだの抗争だのまぁテロも付け足しておくか─、そういう情勢に明るければ十分に惹きつけられるし、ニュースなど見ないという人でも展開と映像自体に見せられること必至。
あらゆる伏線に、今見ている物事を楽しむと同時に前に展開されていた事柄を思い出し、様々な思考をかき立ててくれる作品であった。
リアルな映像とともに、スローモーションと音楽での幻想的表現が差し込まれ、さらにオープニングとエンディングにおける文字と映像のコラージュ的表現が見事にはまっていて、単に面白いとかショッキングとか知的とかそういうもので片付けてしまうのがもったいないくらいに、映画としてカッコいいものであった。
コーエン兄弟やドランらが海街やキャロル、黒衣などでなはくこの作品にパルムドールを与えたことには正当の理由ありといった観。
地味だと思っていた作品だったけれども、その思いとは真逆の作品であった。
移民たちに安住の地はあるのか
昨年(2015年)カンヌ国際映画祭で、パルムドール(最高賞)を受賞したフランス映画。
主人公のディーパンは、スリランカの内戦からフランスへ逃れてきた移民。
フランスでは、結婚して家族でいることが、長く移民として暮らすことに有利なため、スリランカで妻役のヤリニと、娘役のイラヤルで偽装家族を作って渡仏。
そして、フランスで家族として暮らすうち、ディーパンはヤリニを愛するようになる。
最近、フランス映画では定番となりつつある移民問題。
ただ、移民問題や紛争に詳しくなくても楽しめる、エンターテイメント作品に仕上がっているのが、この映画の良いところ。
最後まで見終わってみると、フランスは移民を受け入れてはいるけど、紛争国と同じぐらい、国内の貧困層に問題を抱えていることがわかる。
主人公のディーパンは、愛するヤリニを守るために立ち上がる。
これが、本当にフランスの貧困層で起きていることだとしたら、とても深刻。
まるで、戦争してるみたい。
フランスは、もはや安住の地ではない。
だからと言って、イギリスだったら安全なのか?と言えば、それも違う気がするけど。
ディーパンの生き方にグイグイと引き込まれる作品だった。
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