「余白」父を探して 小二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
余白
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夏休み、アニメーションということもあって、劇場には小〜中学生のお子さんの姿もチラホラ。普段、煮染めたようなオッサンたちに囲まれて映画を観ることが多いので、お若い方が居るというのは良いなあと思った。
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ポスターの感じからいって、ジョアン・ミロのような画なのかなあと勝手に思っていたが。
ミロも「ユビュおやじ」などストーリー性のあるものを描いてはいるものの、どのあたりがオヤジなのかもわからない抽象に比べたら、本作は随分と見やすい分かりやすいタッチの画だなあと。
画だけではなく、お話も思ったよりストレート。近代化・工業化・グローバル化で取り残されたもの…。小〜中学生のお子さんにも何となくは伝わったのではなかろうか。
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ジョアン・ミロは、立体を平面に押し込んだらどうなるか?逆3Dのような画だが。
本作のアニメーションは、平面図のレイヤーが奥行き・立体感を生んでおり、素晴らしいなあと思った。
そして何より心動かされたのは画の余白。
アニメーションに限らず描き込み過多な映像が溢れる昨今には、眼に優しく余韻を残す作風だったなあと思う。
音楽もシンプルな笛の音で余韻を残す。
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父をさがして放浪する男の子が出会う、「年老いて農園を追われるおじいさん」「工業化で職を失うお兄さん」は、実は自分だったという構成は、何だか哀しい気持ちにもさせるが。それでも、昔男の子が植えた一粒の種が育って大きな木になるラストに救われる。
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