劇場公開日 2016年10月1日

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「最高!でも、張った伏線はちゃんと回収してほしい」SCOOP! MizuKiさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5最高!でも、張った伏線はちゃんと回収してほしい

2016年10月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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興奮

作り込まれた画面、一癖ある魅力的な登場人物、エッジの効いたストーリーで総じて面白かったのですが、ストーリー展開に若干穴があるというか、大きな伏線が回収されずに終わったのは消化不良感が残りました。


大根監督らしい、センス良く作り込まれた画面、素早い展開もみていて気持ちがいい。
主人公の静(福山雅治)と野火(二階堂ふみ)、脇役たちもキャラが立っていて興味深い。役者も上手くて個性的。
爽やかイメージの福山雅治が、チャらくてエロい、ダーティなパパラッチ役に意外とはまっているのも見所。

また、主人公が「芸能スキャンダル専門のパパラッチ」という設定の持つの薄暗さが、「見てみたい」というドキドキ感を引きたてています。
カメラマンとしての腕は確かなものの、ある事件から"SCOOP!"編集部を辞め、すっかりヤサグレていた静の心を変えていく若手記者の野火を好演した二階堂ふみも印象的でよかった。


「情報屋のチャラ源(リリー・フランキー)と元相棒の定子(吉田羊)も関わるなんらかの事件が原因で静は編集部を辞め、その件に関して、静はチャラ源に借りがあるっぽい」という、何度も出てきた伏線が全く回収されなかったのには「???」という感じです。とても消化不良。何か、その部分を作れない事情でも生じたのかと思ってしまいます。

また、「盗写1/250秒」という原作TVドラマに縛られすぎたのか、後半は話の展開が急すぎて。代議士の女子アナ不倫密会の盗撮のところなど、もう少し掘り下げて欲しかったという感じが残ります。

あとはまぁ、作品全体のテーマ性は感じられません。娯楽映画としてはそれでいいけれど、静が「戦場カメラマンのロバート・キャパに憧れてカメラマンを志した」と寂しげに語るシーンなど、ヒューマンっぽい要素が少し入っているだけに「その心の葛藤をもう少し見たい」と思ってしまう。

**
文春にも記事を載せている知り合いのライターさんの話だと、「多少誇張はされているものの、週刊誌取材の現場がリアルに描かれている」とのことなので。
張り込み取材がいかに大変で虐げられた仕事か、でもどうして私たちは芸能ゴシップを見て喜ぶのか・・・なんてことも考えさせられるかも!

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MizuKi