「基本的にはアニメ版を忠実に再現。 だからこそ、何故実写化したのか?という疑問が付きまとう…。」美女と野獣 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
基本的にはアニメ版を忠実に再現。 だからこそ、何故実写化したのか?という疑問が付きまとう…。
1991年公開のディズニーアニメ『美女と野獣』を実写化。
変わり者と陰口を叩かれていた美女ベルと、呪いにより野獣へと姿を変えられた王子との恋を描くラブ・ファンタジー。
脚本に『RENT/レント』『ウォールフラワー』のスティーヴン・チョボスキーが参加している。
主人公ベルを演じるのは『ハリー・ポッター』シリーズや『ウォールフラワー』のエマ・ワトソン。
野獣へと姿を変えた王子を演じるのは、『ナイト・ミュージアム エジプト王の秘密』『シンクロナイズドモンスター』のダン・スティーヴンス。
ベルを狙う乱暴な青年ガストンを演じるのは、『ワイルド・スピード EURO MISSION』『ホビット』シリーズのルーク・エヴァンス。
ティーポットに姿を変えられたメイド長、ポット夫人を演じるのは、『ラブ・アクチュアリー』『ハリー・ポッター』シリーズの、オスカー女優デイム・エマ・トンプソン,DBE。
時計に姿を変えられた執事、コグスワースを演じるのは『X-MEN』シリーズや『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの、レジェンド俳優サー・イアン・マッケラン。
燭台に姿を変えられた給仕頭、ルミエールを演じるのは『トレインスポッティング』シリーズや『スター・ウォーズ』シリーズの、名優ユアン・マクレガー。
チェンバロに姿を変えられた宮廷音楽家、マエストロを演じるのは『ターミナル』『プラダを着た悪魔』の、名優スタンリー・トゥッチ。
第25回 MTVムービー・アワードにおいて、作品賞を受賞✨
リメイク元であるアニメ版は、アニメーションながらアカデミー賞の作品賞にノミネートされた傑作。
あまりにも有名な作品である為、実写版の観客の多くはこのアニメ版を観賞済みなのでは?
ちなみに自分もこのアニメは大好きで、幾度となく見返しております😆
これほどの有名作品が元になっている以上、本作をアニメ版と比較して語ることは宜なるかな。
あの名作と比べるのは少々可哀想な気もしますが、これもリメイク映画の定めでしょう。
率直な感想は、「これならアニメ観りゃいいじゃん!」です。
確かに元になった1991年のアニメーションを丁寧に実写化していますが、丁寧にすればするほど、「アニメの方が出来いいじゃん…😅」という感想に…。
アニメ版の最大の見所である、ベルと野獣のダンスホールの場面も、再現こそしっかりと出来ていましたが、なんだかこぢんまりした印象であまり感動できませんでした。
いや、感動することはするんですが、それは偏にアラン・メンケンの音楽が素晴らしすぎるからであって、映像面で感動したわけではないんですよねぇ…。
ストーリーラインはアニメを忠実に再現しているが、当然実写化にあたり改変している点もある。
アニメ版ではギャグキャラクターという側面のあったガストンやベルの父・モーリス。
しかし、本作では狂言回し的なキャラではなくシリアスなキャラクターに変更。
その為、アニメ版ほど笑えるポイントがなく、面白味が減ってしまっている。
「つよいぞ、ガストン」の場面はもっと破茶滅茶で笑えるシーンにして欲しかった…。
また本作には、アニメ版では語られることのなかったベルの母親に関するエピソードが追加されている。
このベルの母親ネタは無い方がスマートだったんじゃないかなぁ、と思います。
ベルと野獣が突然パリに瞬間移動して、彼女の母親の過去を知るという展開が唐突すぎるというか、映画全体の雰囲気とあっていなくて浮いてしまっている印象を受ける。
この時用いた「どこでもドア」的なアイテムも本作のオリジナル要素だが、これが良くない!
アニメ版、本作ともに「魔法の鏡」というキー・アイテムが存在する。この「魔法の鏡」はクライマックスの展開に繋がる超重要アイテムなのだが、この鏡が登場する前に上位互換のようなアイテムを登場させては、魔法の鏡の役割が弱くなってしまうでしょう。
本作はアニメ版の表面を上手くなぞって実写化しているものの、ディズニー・アニメーション特有の映像的面白さが上手く再現できていないと思うのです。
そもそも『美女と野獣』って、物語自体はそんなに面白くない作品だと思うんです。作中の経過日数とかかなりデタラメだし、展開にも無理があるし…。
じゃあ何が素晴らしいのかというと、革新的なアニメーションと愛らしいキャラクター、そしてアカデミー賞を獲ったアラン・メンケンの素晴らしい楽曲の数々!
アラン・メンケンの音楽は本作でも素晴らしく、アニメで使われていた楽曲は勿論の事、新たに書き起こされた楽曲も最高でした。
しかし、アニメ版にあった映像の躍動感は失われており、キャラクターもアニメ版ほど面白くないので、リメイク元と比べ劣っていると感じてしまうのは仕方のないことだと思います。
華やかだけど全くテンションが上がらない作品だった。
全くアニメ版を観たことがなければ楽しめると思うのですが、それならまずアニメ版を観ることをお勧めします。
リカさん、コメントありがとうございます♪
おっしゃる通り、近年のディズニーの実写化には私も違和感を覚えています…。人種やジェンダーのバランスに配慮する姿勢は立派ですが、それが前面に出過ぎていて、オリジナルへのリスペクトが欠けているような気がしてしまいます。過去の名作の実写化が多いのは、それだけ新しい作品を生み出す力が衰えたということなんでしょうね…😢