「色んな意味で、偏見は愚か」美女と野獣 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
色んな意味で、偏見は愚か
フランスの古典小説を基にディズニーがアニメーション化し、同社でも屈指と言われている1991年の名作を、満を期して実写化。
まあ、お見事! さすがと言う他ない。
古くはジャン・コクトー版など度々実写化もされてるが、エンターテイメント性もゴージャス感も最上。同実写化の決定版と言ってもいい。
続くディズニーアニメの実写化作品の中でも、オリジナルのアニメ同様、長く愛され続けるだろう。
ストーリーやメッセージなどについては語り尽くされてるので割愛。
私なんぞよりもっと素晴らしく魅力を伝えられる方は沢山居るだろう。
何より感心したのは、アニメへのオマージュ、再現度、それらクオリティーの高さ。
美術・衣装など、アニメの世界観を完璧に再現。
特にベルの黄色のドレスの再現度の高さは感激モノだ。
アニメならではの動いて喋るサブキャラたちをユニークに実写化出来たのも現代技術の賜物。
そして、アニメ版屈指の名シーンであるベルと野獣のダンス・シーン。
正直、ここはやはりアニメ版の方が一枚上手だ。映像が踊る二人(一人と一頭?)を中心に周り、夢を見、心浮き立つ錯覚に浸らせてくれるかのシーンはどんな作品も真似できない魅力がある。
しかし今作も、優雅さ、華麗さは負けていない。
ほんと、よくぞここまで!
男の私が本作に魅了された最たる要因は言うまでもなく、エマ・ワトソン。
もうとにかく、エマが美しい!
見た目だけじゃなく、内面からも溢れる芯の強い美しさ、一つ一つの愛くるしい表情、黄色のドレス姿はほんのり色気すら。
エマを見るだけでもお金を払う価値(多分)あり。
それにしても、あの可愛らしかったハーマイオニーがこんなにも麗しい大人の女性に成長して…。
おっちゃん、何だか本当に嬉しいぞ!
残念だったのは吹替だったのでエマの生歌が聴けなかった事。これはレンタルになったら必ず字幕で!(吹替も悪くなかったけどね)
そしてそして、アラン・メンケンがまた音楽を手掛けてくれるとは…!
しかも、既存曲にプラス、新曲まで!
伊福部昭の「ゴジラ」、ジョン・ウィリアムズの「スター・ウォーズ」と同じく、アラン・メンケンの音楽に彩られてこそのディズニー「美女と野獣」!
それ自体が最高のサービスであり、最大のオマージュ。
難点についても少し。
原作に沿ったエピソード(ベルの父親がバラを摘もうとするシーン)、アニメでは描かれなかったエピソード(父娘愛をより克明に、娘を想う父、亡き母、王子が我儘になった経緯)など補完し物語をさらに掘り下げ、本を介して二人の距離が縮まる様をじっくり描いたのは全然いいが、少々長く感じてしまった。
物議を醸しているガストンの腰巾着ル・フウ。スネ夫みたいだった彼を同性愛者風のキャラに変える必要はあったのか。
どうしても気になってしまうイケメンっぽ過ぎる今作の野獣。野獣のビジュアルはアニメの方が猛々しくカッコ良かったよね。
…などなど、それらを差し引いても上々。
おそらく日本では、本年度ナンバー1ヒット最有力候補であり、これからもっともっと絶賛レビューは増えるだろう。
その分、アンチも多いだろう。アニメと比べると…じゃなく、ただ単に、
ディズニーが嫌い、ミュージカルが嫌い、ファンタジーが嫌い、ラブロマンスが嫌い、金儲け主義、綺麗事…。
映画は見た人それぞれ。いい意見も悪い意見も。
男の私がこの手の映画を見てこんな感想言うのも気色悪いかもしれないが、とても心惹かれ、非常に満足出来た。それでいいじゃないか!
(プライベートの友人に「こんなの見るんだ」と馬鹿にされ腹が立った)