「またまた日本の宣伝文句が意味不明で賞」美女と野獣 幸ぴこリンさんの映画レビュー(感想・評価)
またまた日本の宣伝文句が意味不明で賞
昨今、日本の広告が意味不明過ぎて作品の価値を落としてるな、と思うが本作も同じく。
電車広告の「彼は信じていた…」と「彼女は信じていた…」のくだりの文章。野獣はただ本来の姿に戻りたかっただけでしょ。ベルにも別にかけがえのない自分を信じていた、って思わせるシーンは無かったよ。周りの人と違う、と言われてはいたけれど、それを受け入れて「まぁいつか幸せになるべ」くらいの気丈で生きているキャラクターだった。
なんか対比的な事うたっておかなきゃ……みたいな適当な文章やめてくれよJAPAN!
さて映画本編についてですが、声だけでも非常に貫禄のある豪華なキャストとキャラクターを完全に確立させた脚本と演出に胸が高鳴る。ユアン・マクレガーとイアン・マッケランは素晴らしい。歌声も凄いよユアン!!
エマ・ワトソンもいつもきちきちっとした役柄が多いので、歌なんて平気なの?と思っていたけれどのびのびと綺麗な歌声が魅力的。
ベルと野獣の2人きりの舞踏会シーンはディズニーランドの20時からやるショーを彷彿とさせる音楽と映像で思わずため息が溢れる程の美しさ。黄色のドレスがチャーミングなベルに最高に似合ってました。女子の誰もが喜べるシーン。
萌えキャラとして女の子の心を鷲掴みにする野獣も良かった。笑顔がいちいち「ほんのり」なのが最高に可愛い。思いっきり笑ったらきっと顔が怖いんだよねw野獣についてはアクションシーンのCGが若干お粗末だったのがイタイ。塔から塔へ飛ぶシーンがさ…(-。-;
ここから、気になった点。
見せどころがとても物足りないこと。
もっと言えば、なぜこんなにもガストンとル・フウに尺を割くのかと。
オーディエンスが求めているのはベルと野獣の絡みではないのか。粗野だった野獣の心をベルが溶かし、2人が心を通わせ次第に愛が芽生えていく!たまにかんしゃくを起こす野獣をベルが叱ってたしなめるシーンとかもっとくれよ!
2人のシーンはあるにはあるが、なぜか会話がほとんどなく、音楽にのせて無声で流れてしまう。その為か、『ダンスの誘いをベルが承諾した』というのがいきなりっぽくて不自然な展開にも感じた。
製作陣はガストンのキャラに相当な自信があったのか、やたらとガストン映画になっていて。しかもガストン、イケメン過ぎて、人間に戻った野獣の面目丸つぶれレベルなんですが。
ディズニーの中でも完全なエンターテイメント作品である『美女と野獣』という作品を、シンデレラよりも身近に感じられる存在であるベルと、「人は外見じゃないんだぜ」を具現化したような存在の野獣を、本作は忠実にキュートに実写化していると思う。
個人的にミュージカル映画が苦手なせいか、中盤の歌シーンの多さと長さに退屈で船を漕ぎかけたが、それでも観終わって数時間後には映画の情景を思い返してまたため息が溢れるような夢のある1本だった。
……ブルーレイは買わなくて、いいかな。