劇場公開日 2016年7月1日

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「アリス・イン・バック・トゥ・ザ・フューチャー」アリス・イン・ワンダーランド 時間の旅 ao-kさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5アリス・イン・バック・トゥ・ザ・フューチャー

2016年7月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

時間の描き方が面白い。いや、表現の仕方が面白いというべきだろうか?本作のアリスは鬱ぎ込んでしまったマッドハッターを助けるべく、時間の旅に出掛ける。これはもはや「不思議の国のアリス」ではなく、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」である。

しかし、“不思議の国”という世界だからこそ描けたものがある。それが“時間”だ。「時は金なり」「光陰矢の如し」など、時間を比喩する言葉は数あれど、時間は実体のないものである。だが、本作はそれをビジュアルに描いているのが実にユニークだ。時には人物として、時にはカラクリ人形として(秒が集まって、分になる演出には思わずニヤリとしてしまう)、そして時には大海原として、時間に質量、つまりは重さを与えて表現する。そこに重さがあるからこそ、時間を遡るということが如何に難しく、危険な行為であるかをという演出にも繋がっていく。中でも“時間が壊れる”後半は大味な展開ながら、そのビジュアルも手伝って、スピード感溢れるスリルを楽しむことができる。

登場人物こそ共通するものの、前作とは大きく異なる仕上がりは前作ファンや原作ファンの期待に背いているかもしれない。しかしながら、我々が生きる上で避けては通れない、時間という概念をビジュアル化するという面白さは、やはり映画だからこそなせる技だ。その上で、過去を変えるのではなく、過去から何を学ぶか?というメッセージ性を持たせたことで、物語もコンパクトにまとまり、小気味良く作品を楽しませてもらった。

追記:蝶々アブソレムの声を演じたのは名優アラン・リックマンであるが、これが遺作となってしまった。享年69歳。「ダイハード」の悪役が印象的であったが、個人的には隠れた名作「ウインターゲスト」の名監督としての印象も強かった。ご冥福をお祈りします。

Ao-aO