「これぞ「センス・オブ・ワンダー」!!! …でもつまんねぇー!🌀」ドクター・ストレンジ たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
これぞ「センス・オブ・ワンダー」!!! …でもつまんねぇー!🌀
スーパーヒーローが一堂に会するアメコミアクション映画「MCU 」シリーズの第14作にして、元外科医の魔術師ドクター・ストレンジの活躍を描く『ドクター・ストレンジ』シリーズの第1作。
不慮の事故により両腕の自由を失った天才外科医スティーヴン・ストレンジ。腕を元に戻すためネパールにあるカマー・タージという寺院で修行することになるのだが、やがて世界を守る為の戦いに巻き込まれてゆく…。
原作/製作総指揮はスタン・リー。
○キャスト
ソー…クリス・ヘムズワース。
主人公スティーヴン・ストレンジ/ドクター・ストレンジを演じるのは『ホビット』シリーズや『イミテーション・ゲーム』の、名優ベネディクト・カンバーバッチ,CBE。
スティーヴンの元恋人である救急救命医、クリスティーン・パーマーを演じるのは『きみに読む物語』『アバウト・タイム 愛おしい時間について』のレイチェル・マクアダムス。
闇の魔術師カエシリウスを演じるのは『007/カジノ・ロワイヤル』『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』の、名優マッツ・ミケルセン。
スティーヴンのメンターである至高の魔術師、エンシェント・ワンを演じたのは『ナルニア国物語』シリーズや『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』の、レジェンド女優ティルダ・スウィントン。
製作はケヴィン・ファイギ。
1968年、ビートルズはメディテーションの修行のためインドへと旅立った。その結果、「ホワイト・アルバム」という歴史的名盤が生まれたことは周知の事実である。
遡ること5年、マーベルコミックスのスタン・リー&スティーヴ・ディッコの黄金コンビはチベットで修行をする魔術師という珍妙なヒーローを生み出している。そのスーパーヒーローこそが「ドクター・ストレンジ」である! …まぁ、映画を観るまで全然知らなかったんだけど😅
要するに60年代のヒッピー・ムーブメントの時代、インドやらチベットやらの南アジア的ヨーガ哲学は欧米におけるトレンドだったわけです。
ヒッピー・ムーブメントを代表するサイケデリックな雰囲気は、映画中ふんだんに組み込まれている。
初めてスティーヴンがトリップする場面、あの超越的な表現は完璧でしたね!🤩
スティーヴン同様、観客もあの場面で一気に非現実的な空間へとトリップすることが出来たと思います。
指から生える手が気持ち悪かった〜🤢
映画全体のタッチはシリアスなのかコメディなのかよくわからない感じ。普通の映画なら中途半端な作風だな、と思ってしまうところですが、本作ではむしろプラス。
「一体何を見させられているんだ…?」感こそが『ドクター・ストレンジ』の魅力なんだと思います。
特に中盤での幽体離脱バトルが最高!本体への電気ショックでパワーアップというのはなかなかバカっぽい🤣
今まで馬鹿馬鹿しかったのに、バトル終了直後にシリアス展開に戻るところとか、本当に狂っていると思いました。
クライマックスでのドルマムゥとのやり取りも良かったですね。おそらくMCU史上最強の敵だったと思うのだが、斜め上の戦法であしらってしまう。真っ向勝負しないというのも『ドクター・ストレンジ』らしい奇の衒い方だと感じました。
あの場面、「ジョジョ」の読者なら間違いなく「ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム」を思い浮かべたはず。「GER」は敵を殺し続けるというものでしたが、ドクター・ストレンジは自分が死に続けるという逆転の発想。しかし特定の時空間に閉じ込めるという点では両者とも同じであるということは目から鱗でした。
その直前には「ザ・ワールド」が発動してたし、もしかして監督ジョジョファン?
余談ですが、この間ノーラン監督の『テネット』(2020)を観まして、逆行時間の中での戦いの描写に関心したんですが、本作ですでに逆行の戦いは行われていたんですね。『テネット』発の演出じゃなかったんだ。
ちょこっとしか出てきませんが、本作の方が逆行描写は面白かった!
ぐるんぐるん回転して組み変わる街という描写もセンス・オブ・ワンダー!
この街の描写もそうですが、何度死んでも蘇る展開とか、ちょっとテレビゲームぽいんですよね全体的に。特殊能力のあるブーツとか魔法を使える指輪とか凄くアクションゲームっぽい。
同じディズニー繋がりで「キングダム ハーツ」シリーズを思い出しました。キャラの服装もなんとなく「KH」っぽいし(黒いフードというだけだけど…)、マップのギミックがスクエニっぽいと思ったのは自分だけかな?
ディズニーといえば、ドクターの装備しているマントが可愛いかった💕完全に『アラジン』(1992)の魔法のじゅうたんでしたね!涙を拭いてくれるマント、自分も欲しい🤣
とまぁ、要所要所には良いポイントもあるんです。…が、全体的には非常につまらなかった。シリーズ通しても最低レベル。
まず、主人公のスティーヴンに魅力がない。
大金持ちの自信家、性格が悪い、天才的頭脳の持ち主、ヒゲ、強烈なエゴの持ち主…ってあれ、こいつトニーじゃね?
そうこのドクター・ストレンジさん、トニー・スタークとキャラが被りまくってるんですよね。シリーズを観続けているものとしてはやっぱりトニーに愛着が湧いているので、どうしてもスティーヴンのことを劣化版トニー・スタークという目で見てしまう。
スティーヴンの唯一無二の個性としては「魔術」がある訳ですが、はっきり言ってMCU 」世界の科学はほぼ魔法レベルなので、スティーヴンの個性が活きない。
彼にしか出来ない技として時間操作があるわけだが、この能力はあまりに便利すぎ。これがあればなんでありじゃん。時間を操れば自分の障害も取り除けるのでは?
時間操作はタイム・パラドックスがどうのタイム・ループがどうので超危険だから使っちゃダメ!とは言われるんだけど、使用後のスティーヴンにデメリットが現れていないから、本当に危険なのかわからない。
この辺の描写は雑だと思う。
全体の話運びも、これまで何度も見てきたような展開で全く真新しさがない。
特にヴィランであるカエシリウスのキャラ的つまらなさがヤバい。魅力が1㎜もない。せっかくマッツ・ミケルセンというレジェンドを使っているのに…😢
あと、やっぱり気になるのはエンシェント・ワン。
このキャラクター自体は良い。ティルダ・スウィントンは坊主頭でも美しかったし✨
でも、原作からわざわざ人種も性別も変えちゃうのは批判が出ても仕方ないでしょ。
チベット→ネパールに設定変更したのは、撮影の関係で仕方なかったかもしれない(まさか中国に配慮したなんてことはないよねぇ…)。
でも、エンシェント・ワンの設定を変えちゃうのは物語上の必然性がない…。
ホワイトウォッシュがどうこう言いたくないけど、南アジア系や東アジア系にだって良い役者はいっぱいいますよ。
ネパールが舞台なのに、メインキャストにアジア人が少ないのはやっぱり気になっちゃうよ(ネパールなのにみんな英語ペラペラなのは100歩譲って許す🤨)。
大体、「禁書」とか「アガモットの目」の管理が杜撰すぎるんだよー。世界の危機を守っている自覚があるのか?
前作『シビル・ウォー』(2016)と前々作『アントマン』(2015)が良かっただけに、本作のつまらなさが際だってしまった。
映像は素晴らしかったので映画館の大画面で鑑賞していればおそらくもっと評価は上がったと思うけど、家のTVで観てしまったのでこのくらいが妥当かな…。