劇場公開日 2017年1月27日

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「マジカル・マーベル・パワー!」ドクター・ストレンジ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0マジカル・マーベル・パワー!

2017年1月31日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

やっと今年最初の劇場鑑賞!
本当は『沈黙 サイレンス』を一番最初にと思ってたのに、日本を舞台にしたスコセッシの話題作にも関わらず我が地元では上映しないという冒涜の所業!
こんなに新年最初の劇場鑑賞が遅くなったのは初めて…と思ったら、2015年最初に観た『エクソダス :神と王』が2月だったのでまだまだ。
…まあ、そんな事はどーでもいいので感想を。

2008年の『アイアンマン』から始まったMCU。
映画史に名を刻んだと言っても過言ではない快進撃だが、その勢いを本物と感じたのは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』や『アントマン』で。
『アイアンマン』や『キャプテン・アメリカ』などメジャータイトルがヒットするのは当たり前として、どちらかと言うとマイナータイトルをもしっかりヒットさせ、極上のエンターテイメントに仕上げたのはお見事と言うしかない。
そして本作も、その名を聞いたのは初めてだったが、これまた魅力的なニュー・ヒーロー!

魔術を駆使して戦うドクター・ストレンジ。
他のヒーローと違って、能力が魔術なのが面白い。
それが旨みたっぷり活かされた、話題にもなっている驚異的な映像やアクションの数々!
物質を、空間を、時までをも操り、超越し…
ねじ曲がるビル群は『インセプション』みたいだが、魔術がプラスされた事でより度肝を抜かれる。
空中に浮遊し、変型し迷宮と化した街で繰り広げられるアクションは大スクリーンで見てこそ。出来れば3Dで見たかった!
肉体を抜け出した“アストラル体アクション”はユーモアも抜群。
映画のイマジネーションはホント尽きない。
劇中の魔術にかけて言うならば、イマジネーションの豊かさとVFXこそ映画の魔術だ。
オスカー視覚効果賞は『ジャングル・ブック』じゃなく、こちらに一票!
笑いの織り交ぜ方も絶妙。
お馴染みスタン・リーの登場シーンは今回もまた傑作であった。
エンドクレジット途中と後のオマケ映像はあのヒーローの新作と本作の続きが気になってしまう。
まさしくストレンジでエキサイティングでマジカルなエンターテイメント!

大まかな話はいつもながらシンプル。
天才外科医であったが、事故によりどん底へ。
魔術と出会い、修行、覚醒。
道を踏み外した悪しき敵と戦う。
高慢だった主人公が自分を改める姿は『アイアンマン』『マイティ・ソー』と通じるマーベル・ヒーローの定番。
自分の知っている世界だけが全てじゃない。
あらゆる物事を受け入れろ。そして自分を解き放て。
ストレンジが覚醒していく様はちと早過ぎるとも思ったが、展開していくにつれ納得した。
彼は元々天才なので飲み込みは早い。
そんな自分の才に溺れた者が、邪悪だが更なる未知の力の存在を知った時…。
堕ちるか、自分の信念のままでいられるか。
このシンプルながらも深みを持たせる作りこそ、マーベルの本当のマジカル・パワーだろう。
重く暗くやれば深いと勘違いしているDCとは決定的に違う。

本作、特に魅了されたのはキャスティング。
ベネディクト・カンバーバッチ、レイチェル・マクアダムス、キウェテル・イジョフォー、マッツ・ミケルセン、ティルダ・スウィントン…これだけの実力派面子が揃えばそれこそオスカーを狙えそうな人間ドラマだって作れそうなもの。
キャスティングの妙もまたマーベルの魅力。
高慢ちきでありながらユーモアがあって人間味を感じさせるカンバーバッチの演技は申し分ナシ。
ちとヒロインのマクアダムス(充分キュートだけど)と悪役ミケルセン(せっかく『ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー』では善人役だったのに~!)が物足りなかったが、イジョフォーの役柄は予想に反して目が離せないし、何よりスウィントン、あなたは個性派を通り越して一体何になろうとしている!?(笑)
それから言うまでもなく、笑わぬウォンさんと“マントくん”はナイスキャラ!

不満点も少々。
序盤、ストレンジをもっとヤな野郎に見せてほしかった。
あれじゃあただプライドが高いってだけで、事故後は周囲に毒づくが自暴自棄は仕方ないと感じてしまった。
後、マイケル・ジアッキーノの音楽。テーマ曲が何だか自身が手掛けた『スター・トレック』にそっくりで…。

マーベルのニュー・ヒーロー1作目は、よく壮大なプロローグとか予告編とか言われがちだが、何の何の!
さすがマーベル。安心安定…いや、絶対的な面白さ!

今やマーベルは『アベンジャーズ』よりニュー・ヒーローこそ楽しみ。
次はやっぱり、『ブラックパンサー』と『キャプテン・マーベル』だね!

近大