「今、あふれ出すーーーCGの力」ジャングル・ブック 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
今、あふれ出すーーーCGの力
「アリス・イン・ワンダーランド」「マレフィセント」「シンデレラ」に続くディズニーアニメの実写企画第4弾と言った所か。
オリジナルはウォルト・ディズニーの遺作となり、非常に楽しい作品だったと記憶している。
日本では奇しくも同時期公開となった“ジャングル・ムービー”だが、こちらの方がずっと面白い。
まさか小さな少年がジャングルの王者より勝るとは。
思ってたより子供向けだったが、溢れる生命力、ジャングルの偉大さ、美しさ、掟と厳しさと言った自然への畏敬、種族を超えた絆や友情などをそつなく。
大自然の中では人間などちっぽけな存在。
しかし、人間にしか無いものがある。
知恵。
知恵と道具を使い、ハチミツを取るシーンなんてまさにそれ。子ゾウを助けるシーンはちょっとジ~ンときた。
恐れず立ち向かう勇気も奮い立たせる。
今夏のハリウッド作品は個人的にパッとしないものが続いたが、やっと満足。
本作最大の話題は言わずもがな、“主役の少年以外全てCG”。
背景も動物たちも!
マジ、CG技術がスゲェ!
ジャングルなんて葉一枚一枚リアルであると同時に、何処かファンタジックでもあり、木々の間から日射しが差し、神秘的で荘厳さすら感じさせる。
動物たちなんて風に吹かれた時の毛並みのふわふわ感や、雨に濡れた時の質感と言ったら!
で、この動物たちがCGで描かれているのに皆生き生きと魅力的。
賢者の雰囲気たっぷりのクロヒョウのバギーラ、母性溢れるオオカミのラクシャ、人間を忌み嫌いモーグリを執拗に狙う邪悪なトラのシア・カーンなどメインの動物たちは言うに及ばず、
シシガミの如きゾウ、薄気味悪い大蛇、その大きさにびっくりのキングコ…じゃなくてギガントピテクスのキング・ルーイたちにも目を見張る。
中でもやっぱり、クマのバルーン。
アニメでもナイスキャラだったが、そのユーモラスさは本作でも損なわれていない。
吹替で鑑賞、西田敏行の声も良かった。
それから勿論、モーグリ役のニール・セディくんも。
この子の好演もあって、ただのCG映像だけの作品じゃないと感じた。
とは言え、ここまでCG多用だと辟易する方もいるだろう。
もはや実写映画じゃない、リアルなCGアニメだと思われても仕方ない。
でも、「アバター」やルーカスのSWエピソード1~3だってほとんどCGだし、映画を作ってる以上技術を駆使し何処まで限界を超えられるか、観客を驚かす事が出来るか、いつの時代も同じ。それに関しては、CGだろうと特撮だろうと実写だろうとアニメだろうと変わりはない。
現代技術の粋をとことん堪能したい。
まあでも、全て実写でやったら、本作を凌駕するそれはそれでスンゴイ事なんだけどね…。
(幾ら何でも不可能だけど)