「復讐するは我にあり 【修正】」シビル・ウォー キャプテン・アメリカ 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
復讐するは我にあり 【修正】
いやいや、いやいやいやいや、
なんかスゴいことになっちゃったな今回の『キャプテン・アメリカ』。
これ、今までシリーズを重ねてきたMARVEL作品でなけりゃ許されない展開だと思います。
もちろん予備知識の点でもだけど(『キャプテン・アメリカ』前2作と
『アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン』は最低でも観ていた方が良い)、
これ単品でやったら怒る人がいるんじゃないかしら。「こんなのヒーロー映画じゃねえ!」って。
監督は、前作『ウィンター・ソルジャー』でも骨太アクションと
サスペンスフルなシナリオで魅せたアンソニー&ジョー・ルッソが続投。
結果として、『ウィンター・ソルジャー』以上に重く密度のある作品に仕上げてきた。
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まずアクションは、
前作のアナログな痛みと重みを感じさせるアクションを持続しつつも、
ヒーローメンバーの大量増加に合わせてしっかりスケールアップ!
序盤の見事なチームプレイや壮絶なトンネルチェイスも見事だが、
ハイライトはやはり、アベンジャーズメンバー6対6のガチンコ対決!!
物語上でも重要な新キャラ・ブラックパンサーや、(いちおう)
一般人メンバーのブラックウィドウ&ホークアイも大活躍。
スパイダーマンは顔見せ程度と思いきやストーリーもアクションもかなりガッツリ見せてくれるし、
アントマンは例のとぼけたテンションでまさかまさかの大暴れを見せてくれるし(AT-AT(笑))、
『~ウルトロン』から参戦のスカーレット・ウィッチとヴィジョンの超常対決もある。
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いや、つうかね、アクションの描き分けもだけど、
総勢12人ものヒーロー達の特徴や背景や葛藤をもしっかり描き込んで、なおかつ
“ウィンターソルジャー”追跡劇を巡るぶっといサスペンスを作り上げたってのは、
正直言ってトンでもないストーリーテリング力だと思えて仕方無い訳ですよ。
本作における最大の爆弾は、キャップの親友バッキー=“ウィンター・ソルジャー”の過去。
それを利用する今回の黒幕はおそらく、アベンジャーズ史上で最弱にして最恐の敵だ。
“ウィンター・ソルジャー”の過去に何があったのか? それを彼はどんな企みに利用しようというのか?
怒涛のアクションの連続に加えてそのサスペンスが最後まで持続し、
148分というかなりの長尺にも関わらず、片時たりとも目が離せない。
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副題Civil War とは直訳すれば『一般市民の戦争』。
“自警団”と揶揄されたアベンジャーズ同士が争う流れを汲んだ言葉
とも取れるが、物語の文脈から考えるに、一番しっくり来る言葉は
『私闘』だろうか。すなわち、『個人的な利害や恨みの為に争うこと』。
この映画で描かれるのは、私闘に次ぐ私闘。復讐に次ぐ復讐。
誰も彼もが自分の利益と正義とをごちゃ混ぜにして行動し、
その行為の結果が新たな恨みを生み、新たな私闘に繋がる悪循環。
「自分が正義だと思い込むのは危険だ」というセリフの通り、
国連に吸収されると本当の危機に対処できなくなるというキャップの主張も、
無法者として危険視されるなら国連直属の組織になるべきというスタークの主張も、
どちらも間違っていないが、どちらも正しくもない。
それぞれの選択がプラスに働く場面もあるが、それよりも不幸な結果を招く展開の方が多い。
最後の闘いの苦々しさと痛々しさ。
まさかあの流れがあの闘いに繋がるなんて思ってもみなかった。
どちらも勝って欲しくないし負けて欲しくもない。観ていて辛くなるほどに痛々しい。
最後の締め方も……誰が『アベンジャーズ』シリーズでこんな結末を予想したか?
この物語は混沌のアメコミ映画『ダークナイト』級に業が深い要素を孕んでいる。
……正義が恨みを生み、次の闘争に繋がるのなら、そもそも正義なんてものに価値があるのか?
復讐に燃えるブラックパンサーの最後の選択が、この物語における救いでもあるのだろう。
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ヒーロー映画にあるまじきモヤモヤした後味が気に入らない方もおられるだろうが……
前作『ウィンター・ソルジャー』と同等以上の出来であるのは確かだし、
もうほとんど『アベンジャーズ2.5』と言って良いくらいの満腹感。
いや、個人的には『~ウルトロン』を完全に凌ぐ出来だと思う。
『アベンジャーズ3』前後編の監督にはアンソニー&ジョー・ルッソが内定しているらしい。
この調子でやってくれよルッソ兄弟。メチャメチャ期待してます。
<2016.04.29鑑賞>
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余談:
今回、キャップになんと70年ぶりに新恋人が……
バッキー、ウィルソン、ニヤニヤすんな(笑)
こんにちわ。
おひさしぶりです。
私も遅ればせながら観てきました。
面白かったですね、大満足ですが
やはり悪と戦うヒーローをみたい。
3は相当高い期待値ですので
少し心配です。
暫くはマーベルVSDCコミックの争いに
目が離せませんね。こういう戦いは
ウェルカムですけど。
※諸事情あって一部伏せ字にさせてもらいました。
以下、近大さんからいただいたコメントです。
近大さん、コメントありがとうございました。
こんにちは♪
自分も見て来ました。
今年特に期待していた作品の一つでしたが、大満足でした!
自分も◯◯◯◯の役所について書きたかったんですが、何だか核心に触れちゃいそうな気がして、陰謀サスペンスとだけして泣く泣く割愛しました。
それにしても、この深いドラマ性。
重くなり過ぎない絶妙なエンタメ性。
DCヒーローも本格的に始動し、すっかりマーベルvsDCといった感じですが、本作を見せられた限り、マーベルの方が一枚上手な印象を受けました。