「骨太」海賊とよばれた男 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
骨太
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熱い男の話しだった。
商売人ではあるけれど、「侍」と言えばいいのだろうか…ずっと戦い続けた男の話しだった。
敗戦という決定的な負けを突きつけられた中でも、民族の誇りと男としての誇りを携え、頑なに貫き通した男であった。
「日承丸」という刀をかざし、当時のアメリカでさえも立ち入れなかったイランへの石油航路を何の後ろ盾もなしに、まさに単独で切り込み、切り開いた。
こんな男が居たのかと…同じ日本人である事に嬉しくもあり、恥ずかしくもあった。
それにつけても、主役が見事だった。
60歳から物語は始まる。
その第一声。
少しくぐもった重く低い声に、してやられた。この第一声に全てを込めたと言われても納得してしまう。
この役に注ぎ込んだ情熱が集約されたかのようであった。
仇敵である國村さんと並んで芝居をしてても見劣りしない。
むしろふてぶてしく見えたりもする。
主役を細部に至るまで立てた脇役達の存在があったからではあるが、神輿として担ぎ上げるに足る存在であったのであろう事が作品の中から伝わってくる。
主役を主役たらしめた助演と演出。
チームとしての見事な仕事だった。
今際の際のアップはCGであろうと思うのだが、とても生々しく非常に精密で繊細な仕事だったであろうと感謝したい。
日承丸…あれは作ったのかな?と勘違いする程見事な出来栄えだった。
良い作品を見せてもらえた。
日本映画、渾身の一作であった。
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