「省略による過剰な想像力が作品を膨らませる」マジカル・ガール akkie246さんの映画レビュー(感想・評価)
省略による過剰な想像力が作品を膨らませる
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最初のシーンには、ほかの生徒は出てこない。にもかかわらず、教室の空気は伝わってくる。そしてこの関係と、語り口が映画の全体を引っ張る。老数学教師ダミアンと人妻の元美少女バルバラ。そして老数学教師は、その知性を彼女を守るためにのみ使う。ムショに入れられて一度は、彼女との再会をためらったものの、その魔力にとりつかれているのだ。ムショに入れられた事件は謎。バルバラが、精神科医の旦那と暮らす生活も謎めいている。バルバラの過去もかなり謎だ。一方、アリシアとルイスの父娘も謎めいている。不思議の国のアリスの物語では、キャロル・ルイスは文学者であり、かつ数学者でもあった。日本オタクらしいスペイン人監督のデビュー作らしいが、このメルヘンチックなハードボイルドさは、カウリスマキ兄弟を彷彿とさせる。文学教師対数学教師。その愛の表現方法が、あまりに単純そしてストレート過ぎて笑いながら惹きつけられてゆく。お金と愛と人生について考えさせられる寓話。映画らしい映画。ラストは「バードマン」を思い出させた。
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