「いじりすぎ」ファブリックの女王 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
いじりすぎ
ファブリックを世界ブランドに押し上げた「マリメッコ」の創業者アルミ・ラティアの半生がメインだが役者も悩みながら演じるという劇中劇、間接描写の手法をとっているのがユニーク。
ドキュメントとしても映画である以上、多少の脚色があることは常識でしょう、それをあえて距離をおいたのは何故でしょうね。
監督のヨールン・ドンネルさんは自身も1967年から1974年までマリメッコの取締役を務めていたのでアルミさんの人物像については良く知る人物の筈、2015年にはマリメッコの暴露本を発行、アルミとケッコネン大統領が出来ていたのは公然の秘密と書いているようです。
だからこそ単純には描けない女性と痛感していたのか、それとも人格破綻者のように感情剥き出しの行状を辛辣に描くことへの保険の趣旨だったのか・・。
カジュアルなライフスタイルの提唱は時代にマッチ、ジャクリーン・ケネディが愛用したことで人気に火が付いた。占い師に頼るところは女性らしいが近代的な経営者としては失格でしょう、ヒステリックに振る舞ってもやっていけたのは女性だったから容認された節も伺えます。
企業家の失敗と成功の苦労話は多いですが映画化される人物に共通するのはおしなべてそのカリスマ性でしょう。
カリスマ性は認めますが正直、おばさんが血眼になって喚いている演出は苦痛、お世辞にも美しいとは言い難いヌードシーンは何だったのでしょう、おまけに彼女ばかりか男性役員まで裸にするのでは悪ふざけとしか思えません、濡れ場こそ出てきませんでしたがドンネル監督は代表作「白地に黒(1968)」など大胆なセックス描写が定評のようです。
ウニッコ (Unikko) 柄くらいは観たことがありますが、おじさんなのでマリメッコへの関心も余り無く、劇中の作品紹介も地味、縞模様の部屋着はまるで囚人服のようでした。
監督はひょっとして劇中で首を斬られた役員なのか?、マリネッコに良いイメージが無いのかも知れないと醒めた目で観てしまいました。