「私たちは相手の何を愛しているのか」ビューティー・インサイド えすけんさんの映画レビュー(感想・評価)
私たちは相手の何を愛しているのか
毎日、起きるたびに外見が変わってしまう奇病に罹ったキム・ウジン。彼自身はその状況を受け入れ、人に会わずに済むインテリアデザイナーとしてネットで家具を販売して生計を立てていたが、ある日、家具屋で美しい販売員・イスに一目惚れしてしまう。
恋人に限らず、明日その人とまた会うとき、何を持って「その人」と認識するのだろうか。だいたい顔だ。顔と外見で「その人」と判断する。
例えば私が目が見えなかったら。きっと「声」や「触感」や「におい」だ。
キム・ウジンは、その全てが寝て起きると、変わる。外見や年齢はもちろん、性別や人種すら変わる。話す言語も変わる。
恋に落ちたイスは、まずそのことを受け入れようとする。外見は違ってもこの人はキム・ウジンだと、一生懸命に理解し、思い込み、キスをして、身体を重ね、そして次第に心を病んでいく。その様が、上がったり下がったりする過程の全てが、あらゆる画角のハン・ヒョジュが猛烈に美しく、健気で可愛く、切ない。
底糸はもちろんストレートなラブロマンスである。ではあるものの、私たちは相手の何を愛しているのか、何を持ってその人と認識しているのか、問いを投げかけてくれる作品である。
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