「美女とある家具職人のおはなし」ビューティー・インサイド akkie246さんの映画レビュー(感想・評価)
美女とある家具職人のおはなし
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美女と野獣、Xメンシリーズ、マーベルシリーズ、マルコビッチの穴などに通じる外見と中身のギャップ、もしくは単なる外見についての映画。逆説的に、内面の大切さが浮き彫りになる。非常に繊細かつ哲学的に作られているので、コメディ要素やアクションシーンなどはほぼ皆無である。ただしこの二人がどうなってゆくのだろうという興味はつねにある。
毎日、外見が変わるというのは、かなりスリリングな人生だ。一回でもかなり大変だと思うが、毎日なのだから、もし外見だけを気にする人生なら、自殺もあるたろう。他者というものになる可能性について考えるいいきっかけを与えてくれる。みな、ハゲのおじさんを馬鹿にするが、もちろん彼にも人格も夢もあるのだ。
私は、この映画について、ほとんどなんの知識も持たずに見はじめたのだが、かなり興味深く見いってしまいました。服が何十着、靴も何十足、メガネだの小物も大変だ。しかも性別、年齢迄様々だという。
物語の途中から主役は、ウジンと、イスという美しい女性の視点も加わる。イスが登場してから物語は俄然面白くなる。これを作った監督は、おそらくこのウジンのキャラクターのように変幻自在で器用な知性を持った人物なのだろうと思う。この123人と言われるばらばらな人々が同一のウジンに見えてくるから不思議だ。
仮に8年間毎日外見が変わるとしたら2920通りの人間を経験するわけである。ハン・ヒョンジュはじめ、キャストがすべて味のあるいい顔をしている。撮影、照明、美術、編集、音楽、ロケーションすべて美しい。主題は奇想天外だが、美しい家具のように緻密に計算され構築されている。素晴らしいの一言。
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