「“地方”という名の地獄めぐり」アズミ・ハルコは行方不明 バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
“地方”という名の地獄めぐり
夢も希望も見えない疲弊した社会のリアルを一地方の片隅から切り取っていて、地方出身者には「あるある」の連続。いまの日本は地獄だなと改めて思う。
箸にも棒にも掛からない平凡人たちのあがきの物語だが、視点が高みからではなく、作り手もキャラクターも同じ地べたであがいているように思えるのがいい。
本作の最もファンタジックな要素は男を襲撃して回る女子高生集団の存在で、30代の安曇春子が彼女らに突破口と希望を見出すのもわかるし、自分の年齢を思って踏みとどまるのもわかる(原作とは微妙に異なっている)。
女子高生らの暴走を象徴する劇中アニメが出てくるが、原作ではハッキリと映画『スプリング・ブレイカーズ』が名指しされている。あの映画のクソビッチたちに「どこまでも行け!」と喝采したくなる感覚が、この映画にも宿っていた。「Break on through to the other side」な快作。
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