「話そのものよりも独特の美的センスが印象深い映画でした」クリムゾン・ピーク スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)
話そのものよりも独特の美的センスが印象深い映画でした
古典的なゴシックホラーでありつつも、その実は愛憎劇がメインだったりもするような映画でしたが、まあ話的には特別驚くような展開ではなく、ある種想像通りに推移するストーリー構成で、正直既視感も否めませんでした。
ですが、この映画はやはり話そのものでは無くギレルモ・デル・トロ監督独特の世界観を堪能する映画だったと思うので、まあそこに関してはお腹一杯満足できる映画に仕上がっていたかなと思いました。
怖さの中に潜む美しさ、デル・トロらしい独特の美的センスが、目で、耳で思いっ切り堪能できる映画になっていたので、ホント妙な満足感は味わえました、話そのものにはそこまで惹かれずも、作品に漂う雰囲気だけは結構好きでしたよ。
ボロボロに朽ち果てた古城のような屋敷に佇む妖しげな姉弟、赤土のアレも含めて舞台設定は文句無し!
幽霊はいかにもデル・トロ過ぎて、ゴシックホラーと言うよりはいつものダークファンタジーのようでしたが、とりあえず雰囲気だけは抜群の空気感で、まあ怖さは大して感じませんでしたが、美しさとグロさが同居していたその世界観に思わず惹き込まれてしまった映画ではありましたね。
幽霊が主人公に匂わす程度ではなく、もうちょっと的確なアドバイスをしてやれよと言った感じの突っ込みどころは、まあご愛嬌と言ったところでしょうか(笑)
しかしこの映画は、主人公よりもやはりあの妖しげな姉弟の存在感に尽きる映画でしたよね、トーマスとルシールがあまりにも妖しすぎた、特にトーマスを演じたトム・ヒドルストンが、ロキを髣髴とさせるような、掴みどころのないキャラだったので、とにかくトムヒ萌え度が半端じゃなかったです、そして姉との関係性がありつつも、主人公イーディスへの想いも変化したりして、そんな愛憎劇の様相を見せた部分に関してはまあ正直笑っちゃうぐらいの展開ではあったのですが、何だかんだでまずまず楽しませてもらったかなと、返す返すも話的に惹かれた訳では無いんですけどね、デル・トロ監督が楽しんで作っている様子に、こちらもノセられた感じで・・・。
ルシール役のジェシカ・チャステインの暴走ぶりも、迫力あって思いっ切り魅了されました、クライマックスのアレは、突っ込みどころも半端じゃなかったのである種衝撃と言うよりは笑劇的な展開でしたけどね。
主役のミア・ワシコウスカは、安定のコスチュームプレイ、オカルトめいた世界観には相変わらずピタリ嵌ります、美しくて目の保養にもなりました、アリス感もありつつ、更には弱々しくちょっとおバカちゃんな面を見せつつも、アグレッシブな面も見せたりと、作品の中でみせる変化に、あの姉弟ほどではないけど心惹かれるものはありました。
そして中途半端なイケメンのチャーリー・ハナムは、やはり中途半端な印象度である意味らしさを発揮してましたね。
最後はお口あんぐりなバトルにいろんな意味でビックリさせられましたが、まあとりあえず全体的にはデル・トロお得意のビジュアル描写に、妙な満足感は得られたゴシックホラー愛憎劇でした。