時代劇は死なず ちゃんばら美学考のレビュー・感想・評価
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【今作は、時代劇の誕生からその後の栄枯盛衰を日本の時代変遷を背景に、且つ数々の名画のチャンバラシーンを盛り込み描いたドキュメンタリー映画である。】
ー 劇中で多くの出演者が語るように、時代劇映画は最盛期とされる1965年以降、その場をTVに譲り、その後TVでも時代劇は激減して来た。
近年ではNHK-BSで時折放映されるのみである。
が、時代劇は邦画で言えば「侍タイムスリッパ―」の驚異的な大ヒット、海外では「SHOGUN 将軍」の大ヒットにより、復活してきている。
今作では、多くのチャンバラ映画に関わった方々が、自身が思う最高のチャンバラ映画俳優や、何故に時代劇(チャンバラ映画)が衰退してしまったかが、語られるのである。
その論は、的確である。
現代では、コロナ禍以降の配信の普及により、私のような若輩者も今作で取り上げられた「宮本武蔵」を始めとした名作を観る事が出来る。僥倖なる事である。
だが、私は矢張り映画館の大スクリーンで正統的な時代劇を観たいのである。
このドキュメンタリー映画を観ると、切に願うのである。ー
■日本一切られた男、福本清三さんが出演の映画が観れて嬉しかったなあ。
チャンバラよ永遠なれ
DVDで鑑賞。
日本映画・ドラマ固有のジャンル、時代劇の歴史を紐解きながら、「チャンバラ」についての俳優や殺陣師、評論家へのインタビューを交え、その真髄に迫ったドキュメンタリー。
子供の頃から時代劇が大好き。昼間の再放送やゴールデンタイムの本放送を、祖父母と一緒に観ていたのがきっかけだ。
必殺シリーズや「暴れん坊将軍」「遠山の金さん」「桃太郎侍」「長七郎江戸日記」などに触れ、魅力の虜となった。
分かり易い勧善懲悪。テンポ良く進む物語。カッコいいチャンバラ。夢中になって観ていたことを覚えている。
映画好きが高じて昔の時代劇映画も観るようになり、中島監督の「中島貞夫の邦画指定席」も毎週楽しみにしていた。
だが最近では、時代劇は殆ど姿を消してしまった。民放では全くと言っていいほど時代劇ドラマを放送しなくなった。
NHKや時代劇専門チャンネルはコンスタントに新作を製作しているが、映画となっては年に1、2本あればいい方で、全くもって寂しい状況であると言わざるを得ない。
時代劇の素晴らしさを後世に伝えようと試みている本作は、良質なドキュメンタリーなだけでなく、時代劇への愛に溢れた人たちの魂が刻まれた碑のようでとても感動した。
流れるような太刀捌き。華麗な立ち居振る舞い。斬る者斬られる者の矜持と美学。静と動のメリハリ。そこへ至るまでの情感たっぷりの物語。演出者と演者のセンス。…
全ての要素がシンクロすることで初めて成立するものがチャンバラであるならば、それはまさに伝統芸能の世界だ。
チャンバラは日本人の魂の根底にあるものに訴え掛ける、誠の美しさみたいなものを秘めているのではないかと感じる。
長年の間に蓄積され、洗練され、確立されて来た様式美を絶対に廃れさせてはならない。その気概が伝わって来た。
[以降の鑑賞記録]
2024/09/26:DVD
※修正(2024/09/25)
本年最高の映画のひとつ
立ち回り、という文化
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