「とむらいびと」サウルの息子 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
とむらいびと
「おくりびと」「おみおくりの作法」風に言えば、“とむらいびと”とでも言うべきか。
アウシュヴィッツで同胞の死体処理に従事するハンガリー系ユダヤ人のサウル。
ある時死体の中に息子らしき少年を見つけ、手厚く弔おうと収容所の中を駆け回る…。
印象的なのは大半は占めるであろう主人公のアップ顔映像。
その苦悶の表情からホロコーストの過酷な環境が臨場感たっぷりに伝わってくる。
“ゾンダーコマンド”という言葉を初めて知った。
ユダヤ人がユダヤ人の死体処理を行う。
そして自分もいずれは殺される。
どんな不条理な気持ちで従事させられていたのだろう。
少年の死体は“らしき”なので、息子ではないかもしれない。
それでも奔走する。
その気持ちは少なからず分かる気がする。
同胞の死体を毎日浴びるように目にし、せめてもの罪滅ぼし。
が、その行動心理はなかなかに理解し難い。
何故そこまで固執するのか、ユダヤの教えの弔いにこだわるのか。
人が人を救う「シンドラーのリスト」、生き延びる執念の「戦場のピアニスト」のように何か分かり易いメッセージがあれば良かったのだが…、
やはり日本人、同情は出来るが、その本当の意味は分かり得ない。
カンヌ国際映画祭グランプリ、アカデミー賞外国語映画賞受賞他受賞多数。
立派なお墨付きを貰っているけど、
ちょっと期待しすぎたかな…。
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