「人と・自分と向き合うという事」映画 聲の形 セロファンさんの映画レビュー(感想・評価)
人と・自分と向き合うという事
原作未読です。中高生向けのアニメかと思って軽い気持ちで観ていたのですが、泣けました。こんなに感動するとは思っていませんでした。
人の心ってこんなにも柔らかくて繊細で、危うくて残酷でもあるのだなと改めて思いました。
小学生の硝子が将也に馬乗りになって掴みかかり喚く場面が印象的でした。何をされても静かに笑ったり、自分は悪くないのにごめんねと謝るばかりだった硝子が、ある意味初めて自分の感情を人にぶつけた瞬間だと思いました。
将也に酷い事をされても‘友達だよ’と伝えていたのは硝子が将也の中にある優しさを感じ取っていたからだと思います。だから周囲から孤立し、いじめられても何もしないでいる将也を見ているのが辛かったし悔しかったし、自分の姿と重なるようでもあり、腹が立ったのかなと思いました。
‘周りの人を不幸にしている’、‘自分が嫌い’。命まで絶とうとした硝子の気持ちを簡単にわかるとは言えませんが、重みは伝わってきます。硝子の心はまだ癒えていませんが、将也と共にこれから時間をかけてゆっくりと前に進んでいくのだと思います。
ラスト、文化祭で将也が大粒の涙を流す場面も感動しました。
やんちゃ坊主だった将也が、一瞬で周囲から孤立するあの感じ、怖かったです。子供だからすぐに仲直りするという事も無く、それはその後の中学高校生活でもずっと続きます。
‘自分への罰なのだ’と将也はそれを受け入れますが、周囲の目に常に怯えています。
心を閉ざす事でしか自分も守れなくなった将也。それは辛すぎます。命を絶とうとする前に硝子に会いに行きますが、彼女との再会がきっかけで、彼の心の中で何かが動き始めます。自ら人と関わり、少しずつ向き合えるようになっていきます。でも、上手くいかなくなるとまたすぐに心を閉ざします。まだ完全には心を開けていない将也ですが、ベランダから落ちていく硝子の手を掴んだ時、彼は自分が今まで心を閉ざす事で色々な事から逃げていた事に気付きました。
文化祭の人混みの中で涙を流す将也。自分の殻から完全に外に出て一歩を踏み出した瞬間の喜び・不安・勇気、、、色々な感情が伝わってきて感動しました。
セロファンさん、コメントありがとうございます。
登場人物の性格はそれぞれ作りこんでありますよね~上手かった。
自分ならどうしてただろう?などと高校時代を思い出しながら鑑賞できました。
「ごめんなさい」の連発。今の俺はまさにそうかも・・・w
CBさん
ありがとうございます!誰目線で観るかで印象変わりますよね。私は硝子・将也目線でしたが、他の登場人物でも色々考えさせられそうです。例えば妹の結弦とか。また観たくなる映画です。