劇場公開日 2016年9月17日

「名作です!!」映画 聲の形 ケルビムさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0名作です!!

2016年12月16日
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名作だと思います。我が家では中学から大学の子供たちも全員が二回観ました。こんなことになるとは思ってもみませんでした。一回目、それなりに感動して近くの「聖地」に「巡礼」までした「君の名は。」の予告がキッカケで本作を観ましたが、それとは比べものにならないくらい何度も涙があふれ、衝撃を受け、それが後に尾を引きました。どういうことだったのか原作を買って家族で読み、考えさせられました。ネットでの見解もたくさん検索しました。知れば知るほど深く「生きる意味(人は希望や意味無しに生きられない)」とか「命の重さ(それでも生きているだけで価値がある)」とかを思わされ、改めて映画でどう描かれていたのか確認したくなりました。映画は本当に良くできています。聴覚障害を持つヒロインの硝子の気持ちに私自身も気付けなかったことがショックだったのですが、主人公の将也が感じていることを追体験しているのだと理解しました。ラストは映画のほうが好きです。アニメでこんなに心をつかまれるのは個人的には三十年程前に観た「銀河鉄道の夜」以来です。学校に通う子供たちの話で、いじめが描かれていたり、どちらも文科省が後押ししてたり、サントラが素晴らしいことや、どちらも原作が何度も書きなおされていて、物語がまだ未完のような余韻が残るところも似ています。またどちらにもクライマックスで主人公が神に自分のささやかな切なる思いを述べる独白の場面がありますが、その中身はエゴではなく他人の幸せのために自分の命を使いたいという若者らしい純粋で切羽詰まった誓いの発露です。その願いが聞き届けられて奇跡が起き、主人公は最後に再出発できるのだなと思われる展開があります。そのファンタジー的な要素も心揺さぶられる重要な要因かもしれません。世の中がわかったような気になっていた若い時よりも歳を重ねる程に「今、見えているものだけが全てではない。むしろ見えないものや未来にどのような意識を向けるかのほうが大事だ」と感じているだけに、とても説得力を覚え、感動しました。

ケルビム