劇場公開日 2016年9月17日

「どこかこんな風に生きてきたような」映画 聲の形 zhiyangさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0どこかこんな風に生きてきたような

2016年10月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

楽しい

原作未読。小学生から中学生になり高校生になり、誰かを傷つけたり傷つけられたりしているうちに人と接することができなくなった少年、転機となった耳が不自由な少女と再会し過去の人間関係を清算する話。流石は京アニという絵のきれいさ・可愛さと、ピアノと電子音を基調とした音楽が心地良い。冒頭のMy Generationだけは不思議だが…。ストーリーは想像以上に胸に刺さった。群像劇ではないが、登場人物のキャラが分かりやすく、色々な「駄目さ」が際立って、それが自分の過去をチクチク刺すような感じ。

ヒロインの過剰なまでの優しさによって成り立っているような話な気がするけど、別のキャラクターが「それを言っちゃお終いだろ」みたいな言いがかり、だけどある意味(良いか悪いかは別として)凄く素直な思いをぶつけているあたりでは、自分の道徳心を値踏みされているような気になるというか、不自由を抱えながら曖昧な微笑みを絶やさないヒロインに都合の良さとうっとうしさの両方を求めている感じがして、そこもひりひりする。主人公も、作中でも自分のためと言われているが、自分でまいた種を自分で刈り取っているようなところもある。誰もが自分勝手なところがあるんだけど、それにどうやって折り合いをつけるのか、傷つきながら模索している感じ。まとまらないのだけど、息苦しさと、その合間に深呼吸できるような安らぎを感じる。良い映画だと思う。

zhiyang