劇場公開日 2016年9月17日

「誰にでも思い当たる映画」映画 聲の形 まえじーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5誰にでも思い当たる映画

2016年10月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

悲しい

「いじめをしたことがあるか?」と聞かれたら、ハッキリと「していません」とは言えない自分がいます。
主犯格じゃなくても、あまり関わらない様にしたり、からかっただけでも向こうが傷ついていたりいじめの一部になってる可能性はある。

誰もがこの物語のメンバーの誰かに感情移入は出来るかなと思った。

私がいじめられたときは短期間だった。でもとても長く感じた。
死にたいとは思わなくても、確実に辛かった。
そんないじめていた人が、SNSで友達申請して来たり「遊ぼう」と誘って来たり、当時の私は理解が出来なかった。
でも彼ら彼女たちは時間が進んでいて、あのいじめは一瞬の出来事で、私だけが時間が止まっていて。
引きずっているわけではないけど、やっぱり私は傷はついている。
その中で私は前に進もう、もう許そうと思い、嫌な思い出は嫌な思い出のまま忘れず、でも新しい思い出を上書きできればいいかなと思った。
いじめた側も学校の環境下では強かったかもしれないけど、学校と言う枠を出たら考えが変わったかもしれない。
また害がありそうであれば付き合わなければいいだけ。
そう思うと気が楽になったし、人は変わるとより思えるようになった。

そんな思いがあってこの映画を観ると、耳が聞こえない友達はいないけど、全部身近で合間合間にその時の気持ちがこみ上げて涙が止まらなかった。
この映画に「ああいうことがあったな」とか感じなかった人は、それはそれで素敵な幸せな人生だと思う。

一つ声を出して言いたいのは、一部で感動ポルノと呼ばれる事への違和感。
確かに泣かせる要素は沢山あるし、設定もお涙頂戴と思われても仕方ない。
でもこの映画のテーマは、耳が聞こえようが聞こえなかろうが関係なくて、自分の過去と向き合いどう変わっていくかだと思う。
変わるために周りに迷惑を掛けようと、自分が反省した事柄に大して変わろうとするのはとても素敵な事だと思った。

子供たちだけではなく硝子のお母さんや妹の結絃の心境の変化も見逃せない。

ちょいちょい笑いどころもあって、見易く考えさせられ昔を思い出す映画でした。

まえじー(★は全部5にする)