劇場公開日 2016年9月17日

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「一本の映画として成り立っていない。」映画 聲の形 破壊神幸子さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0一本の映画として成り立っていない。

2016年9月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

タイトル通り、原作を知らない人がこの映画を見たら、一体何が行われているのかを正しく理解できないと思います。

原作に気を使ったのか、叩かれるのが嫌だったのか、序盤・中盤「原作を読んだ人間にしか伝わらないよねこれ?」といったような酷いダイジェスト版みたいなものを延々見せられます。
特に、原作では1巻まるまる消費して描いた、物語の核となる大事な少年時代をさらっと流したのは酷すぎます。
そのせいで、その後の重みが全く失くなってしまいました。
硝子が想いを伝えるシーンなんか、「何でそうなったの???」と思わざるを得ません(全てのシーンにおいてそうですが)。
全体的にシナリオ構成が雑になりすぎていて、この話の素晴らしい点であるキャラ一人ひとりの心情が全く伝わってこない。何もかもが軽すぎます。

ただ、後半、本当に少しだけオリジナルのストーリーに入った場所の展開は良かったです。
原作には無かった硝子と植野が絡むワンシーン、それだけでも見た価値はあったなとは思いました。
最初から原作オリジナルと割り切って作っていてくれていたら、と悔しくなります。

原作を読んだ人間に媚びる作りにしてはいけない作品だったと思います。
内容にとても意味があり、どんな人間が見ても絶賛するであろう作品だっただけに、一本の映画として完結する映像作品にするべきでした。
長い原作を2時間弱の映画に収めるのは無理なのですから、ストーリー、演出を大胆に変更することになっても、作品の伝えたかったことを、「聲の形・映画版」として大事に描いて欲しかったです。
それが、原作付きの作品を映画化する、最低限の責任なのではないでしょうか。

もし映画だけしか見ていない、という方が居ましたら、AmazonのKindleで、スマホからでも無料で1巻をまるまる読むことが出来るので、1巻だけでもぜひ読んでいただきたいです。
もしくは、1巻だけ読んでから映画を見に行ってほしいです。
少年時代のあのストーリーが分かるだけでも、登場人物達の気持ちの理解度が全く違うと思いますので。

映像と音楽については、流石京都アニメーション。文句なしの満点だと思います。
声優さんの声色・演技も全く違和感なく、「そうそうこの声!」と感心してしまいました。
シナリオ以外でここまで原作に敬意を表することができるのに、何故シナリオだけ……(笑)。

破壊神幸子
ゆっくりさんのコメント
2016年9月27日

原作は読んでいませんが、伝わってくるものは、充分ありました。登場人物の心情をもっと理解するために、原作を読んでみたいと思います。

ゆっくり