「救いようがない」葛城事件 Kjさんの映画レビュー(感想・評価)
救いようがない
交錯する想いの中、破綻し、もはや遮ることが困難なまでに悪臭を放つ家族像を淡々と語る。その語り方はフォックスキャッチャーを想起してしまった。辛い麻婆豆腐、吸い殻、カナブンなど、象徴的なシーンを用いてその重く暗い闇を描く。無駄なシーンがなく、どれもが何らかの違和感や意外性を感じさせるこの家族の間違いが仕込まれている。1つ1つはたわいのないことなだけに、この危機が別世界での話ではなく、身近にありえることとして認識させられてしまい怖い。
三浦友和はじめ、役者陣が何も好演。監督の力量に感服する一本である。
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