「作品の背景が重みを持つ」フランス組曲 SHさんの映画レビュー(感想・評価)
作品の背景が重みを持つ
原作があったり、もとになる話があったりする映画は世の中にたくさんあるけれど、これほどまでに原作の価値を感じて見た作品はないように思う。
ナチスの大量虐殺の犠牲になった作家が、これほどまでに敵方同士の切なく繊細な恋愛物語を紡ぎ出そうとは…あらゆる複雑な思いを起こさずにはいられない。平和への祈りなのか、現実を切り取ったのかはたまた現実逃避だったのか…果たして原作者は自らの運命を予想していたのかそれともまさかポーランドのかのかの地で命を落とすとは思いもせずに書いたものなのか…いずれにしても涙なくして見ることはできなかった。
強烈な原作とともに、個人的には、非常にお気に入りのミシェル・ウィリアムズが魅力的で、彼女の演技を見るだけでかなりのレベルで作品に引き込まれてしまった。
舞台は過去の事実なれど、物語はあまりに奇麗事で非現実的、映像そのものも全体的に美しすぎる、それ故になおさら、戦争の醜悪さを見せつけられたような思いがする。
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