劇場公開日 2016年4月1日

  • 予告編を見る

「喜劇なのに、切ないテーマが胸に響く。」あやしい彼女 Cディレクターシネオの最新映画レビューさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0喜劇なのに、切ないテーマが胸に響く。

2016年5月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

子供からお年寄りまで楽しめる、

「家族はつらいよ」に続く、

松竹大船調のハートウォームコメディですね。

テンポも良く、ファンタジーの楽しさや、

生きることの切なさを存分に味わえる良作でした。

韓国映画のリメイクとは知りませんでした。

激動の戦後で夫に先立たれ極貧で、

一日中働きながら病気の娘を育てる、

懸命に生きてきた73歳のカツさん。

そんなおばあちゃんが、

20歳に若返るというギミックだけですが、

いろんなことを考えさせられる

素敵なお話です。

若いころ、やりたかったこと、

できなかったことをやろうと、

第二の人生が始まるのだけど、

リベンジだけじゃないのが、良かった。

2つの人生を通して、

大きなテーマがが伝わってきました。

人のために生きるのも、自分のために生きるのも、

一生懸命生きていれば、幸せなんだな。

主人公の影響力で周りが変わっていく様に、

爽快感を感じます。

自分の居場所も、モノの豊かさも、

嘘っぱちな仲間も、

苦労もしないで手に入れたものなんて、

なんの価値もない。

お説教のようなテーマが、

こんなにも楽しく切なく胸に響いてくるのは、

水田伸生監督の手腕なんでしょうね。

主役の多部未華子さんは、

夜のピクニックが印象的でしたが、

あれからもう10年なんですね。

スクリーンで久々に再会した彼女は、

垢抜けて、幅が広くて、大きさを感じる、

素敵な女優でした。

歌は味があって良かった。

オードリー・ヘップバーンのヘアスタイルと、

シックスティーズファッションも、

キュートに魅せてましたね。

おばあさん役の倍賞美津子さんも、

さすがのキャラクターづくりです。

毒舌を吐く様の憎めない可愛らしさが、

素晴らしかった。

一度きりの人生、

悔いのないように生きていこう。

はたして自分はできているのかな...。

喜劇映画を観た帰りに

そんなことを想うなんて、

想像もしてなかったのです(笑)

Cディレクターシネオの最新映画レビュー