「霊っているのかいないのか、ま、どっちでもいいのか」君はひとりじゃない りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
霊っているのかいないのか、ま、どっちでもいいのか
ポーランドの中年検察官ヤヌシュ(ヤヌシュ・ガイオス)の仕事は、来る日も来る日も凄惨な死体の検証をするというもの。
心は疲弊している。
家庭でその心が癒されることはない。
というのも、妻を亡くしてからは、娘のオルガ(ユスティナ・スワラ)との仲も上手くいっていないからだ。
そんなある日、娘オルガは摂食障害の末に自宅トイレで倒れてしまう。
ヤヌシュはオルガを精神病院に入院させ、グループセラピーに参加させるが、そこのセラピストであるマオ(マヤ・オスタシェフスカ)にはもうひとつの顔があった。
それは、8か月の息子を突然死で喪って以来、霊と交信する能力が芽生え、その能力を使って残された遺族を救うというものだった・・・
といったところから始まる物語で、まぁ、その後は、マオの不思議な力によって(か、よらずか)ヤヌシュとオルガの心が再び通い合う展開になる。
いやぁ、どういっていいのかよくわからない感じの映画で、ストレートなヒューマンドラマとは趣を異にしており、コメディに分類しているサイトもあるくらい。
先ごろ特別上映で観たイザベル・ユペールとジェラルド・ドパルデュー主演の『愛と死の谷』もそうだったが、近年、ヨーロッパでは霊的なものが題材に撮られていることが多いのではなかろうか。
未見だが、オリヴィエ・アサイヤス監督の『パーソナル・ショッパー』もその手の話らしいし。
とすれば、かなりヨーロッパ全体が疲弊しているのかもしれない。
そんなことを観終わってから考えたが、映画のラストはどう捉えればいいのか、よくわからない。
心に深い溝のあるヤヌシュとオルガが、マオを交えて、亡き妻の降霊会を行う。
霊が降りてくると、マオは自動書記を行う。
が、いつまで経っても霊は降りてこない。
そのうち、深夜になり、夜明けになり、マオはテーブルを前にして大きな鼾をかいて眠ってしまう・・・
これは、陽気な亡き妻の霊が降りてきてグースカと寝たようになっているとも受け取れるし、単にマオが眠ってしまったともともとれる。
個人的には後者だと思うのだが、まぁ、どちらでもいいのかもしれない。
いずれにせよ、父娘の心の溝は埋まったのだから・・・
って、やっぱり、よくわからないなぁ。