ちえりとチェリーのレビュー・感想・評価
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想像力が人にとっていかに大切か
人間の想像力がいかに大切なものかをめぐる人形アニメーション。イマジナリーフレンドは、小さい頃には誰もが持ったことがあると思うが、それが生きる力を与えてくれ、少女の成長に欠かせないものであることを、さわやかに描いている。「500ページの夢の束」や「ブリグズビーベア」などにも共通する要素がある作品かもしれない。
人形アニメーションの実在感、活き活きとしたキャラクターに心を奪われる。そこにないものを想像する力とというテーマと、無機物に命を与えるアニメーションという手法がこれ以上なくはまっている。躍動感あるキャラたちの動きに本当に生きているのではと思わされる瞬間が何度もあった。54分しかないのが惜しい。このクオリティで長編をぜひ作ってほしい。
脚本の島田満のやさしい語り口も本作のテーマにぴったりだった。魔法少女ものを数多く手がけた氏のセンスが存分に活かされたと思う。早すぎる死が惜しまれる。
チェリーがデカすぎる
監督と脚本は『チェブラーシカ』『チェブラーシカ 動物園へ行く』の中村誠
脚本は他に『ゲゲゲの鬼太郎 おばけナイター』『チェブラーシカ』『それいけ!アンパンマン すくえ!ココリンと奇跡の星』の島田満
ちえりの妄想世界
かわいいぬいぐるみもサイズのデカさによっては気持ち悪い
アニメ声かと思いきや星野源
タモリ倶楽部のゲストのときは特に頼りになりそうな雰囲気は全くないがこうしてみるとなぜか頼もしい
亡くなった父の声も星野源
つまりそういうことだ
幼い意地悪な兄妹を見てるとなぜか『俺の空』の統一郎聖子を思い出した
住職の声を担当したサンドウィッチマン伊達はどういうわけだか平泉成に寄せていた
配役
ちえりに高森奈津美
ちえりが大切にしているぬいぐるみのチェリーに星野源
ちえりの母の万里恵に尾野真千子
ねずみのねずざえもんに栗田貫一
黒猫のレディ・エメラルドに田中敦子
住職に伊達みきお
大黒様に富澤たけし
敬子に和希沙也
敬子の息子に勝太に北川里奈
敬子の娘に絵美に佐武宇綺
祖母の節子に谷育子
母犬に花村さやか
パペットアニメとしては素晴らしい
表情や感情の表現がすごくて繊細な映像は素晴らしかった。
でも、脚本や演技はどうかというと、、主演の高森奈津美さん以外は浮いてるし、画面を見ないで耳だけで聴くと、うーん、かなりしんどくなりました💦
これがパペットじゃなくて普通のアニメーションだったら、と考えて映像点を除いたら、やはり評価は低くなってしまいます。
ドンドラベッコ!
ちえりの想像したものが現実として現れる。ウサギのぬいぐるみチェリーは何かとちえりを助けてくれるが、出産が間近の犬の仔犬も命が尽き欠けようとしている。☆の明かりが消えれば仔犬も死ぬ・・・といったときに、ちえりが想像したドンドラベッコが現れる。尻尾が3本あり、顔は死神、その死神が星を持って逃げ去ろうとしていたのだ。
設定が小学6年生ということなので、やはり成長物語。人形に頼ってばかりもいられないが、そのチェリーが父親的な存在だったため、大人にならなきゃいけないと諭すのだった。
誰にも大人にならなきゃならない瞬間がある。法事をさぼって大丈夫なのか?とも感じたものの、坊さんの法話よりも大切なことを経験したのだ。同時に父親への思いも断ち切らなければならなかったのだが、将来、チェリーが父親だったのだと懐かしく感じられることだろう。
・オープニングでぶわっと春を感じて、エンディングでしみじみ春が来た...
・オープニングでぶわっと春を感じて、エンディングでしみじみ春が来たなぁと思う
・自分が変われば周りも変わって見えてくることをこの年代の女の子が経験するのは大きい
・立ち上がる瞬間に顔が映ってなくても決意を感じさせられた。すごい!
言葉にするのが難しいが感情を揺さぶられる傑作
以前からSNSで評判は耳にしていたが、スローシネマという独特の興行スタイルのため鑑賞する機会がなかった。先週から2週間限定で全国のイオンシネマで公開が始まったので、近場のイオンシネマに行ったら停電事故のため上映中止。今週は早くも朝9時台の上映のみとなり、時間が合わないため夕方の上映があるイオンシネマまで足を伸ばしたが、遠出して見るだけの価値はあった傑作であった。
上映が始まると、まずはその映像の美しさと、人形の自然な動きに心を掴まれた。スタジオライカ作品などの海外のパベットアニメーション映画と比べても、スケールは小さいものの、映像美と動きの丁寧さでは負けていない。日本にもこれほどのパペットアニメーションを作れる作家がいると知れただけでも見て良かったというものだ。
声優陣は、専業声優・実写俳優・お笑い芸人などから幅広く選抜された、申し分ないキャステングであった。主人公ちえり役の高森奈津美の可愛らしい声、チェリー役の星野源の優しい声、猫のレディ・エメラルド役の田中敦子の凛々しい声など印象的な声が多かった。
イマジナリーフレンドとの交流を通じて肉親の死の記憶を克服していくというストーリーは『若おかみは小学生!』を連想させるが、自分はむしろ想像が現実と対峙するという物語構造から、片渕須直監督の三部作(『アリーテ姫』『マイマイ新子と千年の魔法』『この世界の片隅に』)を連想した。
想像と現実を行ったり来たりしつつ、想像を現実と対等なものとして描く演出は、上記の作品にもあるものだが、本作はさらに、想像に現実と対等な「重さ」を与えるために、パペットアニメーションというとてつもなく手間がかかる方法を取ったのではないか。この「重さ」は、手描きや3DCGのアニメーションではなかなか得られなのものだと思う。
ボロボロと涙が流れ、上映終了後には立ち上がれなくなるほどの放心状態となったが、悲しい話という訳でもないのに自分でもなぜ泣いているのか説明がつかない。他人に薦めるにしてもどこにどう感動するから見たほうがいいと言えばいいのかわからない。しかしこれこそが言葉ではなく映像でしかできない体験をした証であろう。
微妙だった
人形のバリエーションに乏しい表情を、しっかりと生かしたパペットアニメーションは素晴らしかった。
内容的には父親が亡くなり、母親が仕事で家計を維持せざるを得ないため、放っておかれた子どもの精神のままのちえりが、想像の世界で生きていた中で、精神的成長を遂げる話。
すごくいい話なんだけど、大人が観るとエンタメになりきれない宮崎駿作品というか、子どもが観るとファンタジーさが欠けた「不思議の国のアリス」っぽいというか。
「夫(父)の死」を数年経っても乗り越えられない現実と、ちえりの空想空間のリアリティラインが乖離しすぎてて。
また、子供には背伸びしすぎて理解できるのか怪しく思うし…
それでもうっすら涙ぐんでしまうのは、おそらく最後のあたりの、母親と親戚の会話が、大人の立場で「自分が死んだあと残された家族」を想像してしまい、染みたというところが大きいかな。
2015年制作2016年公開作で、共同脚本の中に2017年に亡くなった島田満さんの名前を見つけ、ある種死ぬことを覚悟した人からの、生きて残った人々へのメッセージなのかも、というむず痒さも感じ。
名作にも駄作にもカテゴリーできない「微妙」さが満載だけど、印象が強烈という、謎作品に。
それがまた作品全体の味にもなっていて。
評価しにくかった。
優しい等身大の世界観
ちょっとした仕草(特にまぶたや眼球の動き)がとても生々しくて、それだけで言葉にしなくてもキャラクターの気持ちが直接伝わってきた。
劇場版「若おかみは小学生!」を観て気に入った方はぜひこちらもどうぞ。
日本版『パンズ・ラビリンス』
正直この映画アートですね。
日本版『パンズ・ラビリンス』とも言うべきファンタジー映画の傑作でした。
主人公の少女の年齢も父親が死んだって設定も『パンズ・ラビリンス』に似てる。
空想と現実が交差する映画は『8 1/2』や『オール・ザッツ・ジャズ』『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』や『中学生円山』や『風立ちぬ』の系列に入るファンタジー映画でした。
これは隠れた名作ですね
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