スプリング、ハズ、カムのレビュー・感想・評価
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旅立ちの時の周囲のぬくもりが心地よい余韻を残す
胸の中を爽やかな風が吹き抜けた。自分が初めて上京した時、どんな気持ちだっただろうかと、重ね合わせて懐かしくなった。親元を離れるヒロインのみならず、誰にでも旅立ちの時は訪れる。そんな姿に一言、「がんばれ」と、いろんな立ち位置から声をかけずにいられない出演者たちの、さりげない演技や個性がとても素敵に輝く作品だ。
また、物語を彩るエピソードの数々が、ささやかではあるが思いがけないものばかりで、日常の魔法として心地よく響いてくる。広島弁の温かみが全編に溢れ出しているのも魅力の一つ。声や言葉のリズムに思わず引き込まれてしまうし、その温もりがいつまでも胸に留まり続ける。
時折、ヒロインは部屋で独り言をつぶやく。あくまで私見に過ぎないが、彼女はもしかすると亡くなった母親に宛てて自分の気持ちを報告していたのではないかと、ふと思った。そうやって彼女はこの先、父親と同じくらい母のことを思いながら、一人暮らしの一歩を踏みしめていくのかもしれない。
父娘の街角散策スナップ映画
男手一人で育てた愛娘、成城学園に合格し広島から上京、父と二人で祖師谷でアパート探しの一日、出合う人々との他愛のない世間話に花が咲く・・・。
まあ、主人公はカメラ好きで何でもパシャリ、今どき珍しいほのぼの系、街角散策の父娘スナップ映画、よく言えば昔の小津監督の好きそうなシチュエーション。
柳家喬太郎師匠は落語家だから他愛のない話でも表情たっぷりに独演会状態、これに劣らないのが大家さん役の柳川慶子さん、お年寄りらしい長話を嬉々として語ります、さすがにベテランの役者さん、師匠より自然体でリアルな存在感、よくいますよね、こういう気の善い老婦人。
ヒロインの石井杏奈さんはまだ役者未満だし、喬太郎師匠は灰汁が強過ぎる、妙なメッシュを入れたり若作りの服装が痛々しい。春らしい朗らかな映画にしたかったのだろうが中身が凡庸、まあ、ストーリーよりキャラクターに拘る、吉野竜平監督の作家性なのでしょう。
あくまでも喬太郎目当て。
喬太郎師匠の主演映画、なら見ておかなくては。
それだけの理由。
評価は、喬太郎師匠が出ていたから甘くするが、それでも2だ。
進行はノロい、じれったい。
娘はドンクサい。
大家はウザい。
そこいくと喬太郎は、広島からやってきたシングルファーザー然としててうまい。伊達に高座で多くの人物を演じてきたわけじゃない。
しかし他がどうも。
無垢の田舎娘に、自分は不倫してると自慢する叔母さんて、僕ならゆるせないし。
ラストのおんぶも、なんか馬乗りに見えて白けた。背中にもたれて首に腕を回さないと愛情が伝わらないでしょうに。
別の映画を諦めてまで観に行った後悔しかない。
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