「世界観だけ。不良映画として全く面白くない」ケンとカズ なかじまさんの映画レビュー(感想・評価)
世界観だけ。不良映画として全く面白くない
まず、面白いと感じた人はディテールだけ見て世界観を楽しんでいたのではないか?
不良映画なのに、おそらくノワールをやろうとした駄作。
てゆうか主人公のケンが何故薬の売人を始めたのが伝わってこない。2人の関係が良く分からない。重要な物を何か忘れている気がする。
不良映画の定番と言えば「女よりも仲間の友情」「復讐」だと思うが、仲間が殺されたのに最後に微笑むって全く意味が分からない。何も消化できていない。
母親と妊娠中の彼女の描き方も雑で主人公2人が何も活きてこない。女は置物の様に描かれている。
現状を母親のせいにして生きる男、子を授かり薬の売人を止めようとする男。
主人公のケンは結局受動的なまま一生を終えている。
一体この映画は何を描きたかったのか、見失っていると思う。
さらには、時代背景が浮かんでくる不良映画ならではの情景は皆無だった。
リアリティーを求めたのは良いが、大事なものを忘れてある意味ファンタジーになっていた。
何を間違えたのかは分からないが、「なんとなく」で書いた無駄でありきたりなセリフ、無駄なカット、無駄な説明シーン。
そこに心の揺れはあったのか?
もっと言えばアップの多用で重要なアップが全く効いてこない。
最後に死ぬシーンでフラッシュバックを使う(他にも何度か)が、とても親切でとても客に愛を感じなかった。あれはただの説明にしかなっていなくて、表現ではない。
結論、編集より脚本を直した方が良いと感じた。何も消化しきれていない物語。
今時、不良映画であそこまでリアリティーを追い求めることは簡単じゃないと思う。あとは映画自体のクオリティを上げてもらえる様に期待したい。
次回作に期待します。
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