「知るべき戦争現実の名作」ヒトラーの忘れもの まさきさんの映画レビュー(感想・評価)
知るべき戦争現実の名作
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ヒトラーの罪は深い。戦時中だけではなかった。war is not over、という状況。
ナチスドイツによってデンマークの海岸地帯に埋められた地雷原を、戦敗国であるナチスのデンマークに取り残された少年兵らが駆り出されて命がけで除去してゆくストーリー。
10代の若者らが理不尽な仕打ちを受け続ける訳だが、同時代の日本を思い起こせば予科練出身の神風特攻隊や回天を思い出す。洋の東西を問わず、しょうもない大人らに翻弄された少年たちの悲劇。本作では結局のところ、ヒトラーの作戦の後始末をさせられている訳である。少年兵に対するデンマーク兵の軍曹の気持ちも分からんでもないが、それにしても、とも思う。憎むべきは少年兵ではなく、ヒトラー含めたナチス上層部である。しょうもない荒くれ者のヤンキーが、街で子犬の頭をちょっと撫でれば「実はとてもいい人」と思われてしまう風潮があるが、それは違う。騙されてはいけない。少年兵らへのひどい態度のあと、多少は自責の念からちょっと食事を差し入れたり、一緒に遊んだり、となるが、結局自分の犬が爆死すれば、また少年兵らのせいにするしょうもない大人な訳だ。ま、流石に自責の念に駆られて最後に彼らを逃がしてやるという相当に重い決断をした訳だが、それをもってして、人として合格点、とは思えない。
しかしこのような世界中のほとんどの人々が知らなかった重大な残酷な史実を知らせてくれる映画は非常に貴重であり、こういうのは中学、高校の授業で流すといいと思うんですよね。歴史の教科書を普通に読むよりずっとためになると思います。★5つ。
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