「哀しい砂浜」ヒトラーの忘れもの everglazeさんの映画レビュー(感想・評価)
哀しい砂浜
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ドイツ降伏によりその占領下から5年ぶりに解放されたデンマーク。その海岸沿いに仕掛けられたナチスの地雷撤去のため、駆り出されるドイツ人少年兵達。
少年達は、母親を恋しがったり、兄なしでは眠れないと言ったり、母国の復興を夢見たりと、あどけなさが残ります。
ドイツ兵を憎むデンマーク人達の心情を責めることは出来ないけれど、そのはけ口が、所詮人員不足で駆り出されただけであろう、素人同然の少年達に向けられるべきなのか。
少年達は自国の未来を築く重要な財産。しかし敗戦した大人達の後始末のために、彼らの多くが、身代わりで罰を受けるように犠牲になったことを知りました。皮肉にも自国の地雷で一瞬にして吹き飛ぶ彼らの生命と希望と夢。
少年兵達を監督する軍曹からは、ドイツへの憎しみを抱きつつも、少年達の士気を維持して地雷撤去を進めなければならないというジレンマがよく伝わってきました。鬼軍曹の側面はあるものの、結局少年達を道具としてではなく、人としてみてくれたことが救いです。
淡々と進む中で、いつ地雷を踏むかという緊張感があります。双子の兄を失って、狼狽し放心状態になる弟の姿に涙しました。
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