ボーダーライン(2015)のレビュー・感想・評価
全243件中、81~100件目を表示
ベニチオデルトロ最高だったなー
が、S系年上男子に振り回されつつもドキドキが止まらない!みたいなティーンズコミックの匂いがするのは何故なんだ。
レジーは干物女(堅物)に説教垂れるゲイバーのマスター。
「あんたまゆげボサボサじゃない!」
This is the land of wolf now. 日本で良かった。
このストーリーは現実に近いのでしょうか?もちろんデル・トロのくだりはフィクションとしてもメキシコってあんなに危ない国なの!?ラストのサッカーしてる少年達が銃声が聞こえた時に一瞬立ち止まり、そしてまたサッカーを始めたシーン。慣れちゃってますやん!!こういう作品を観ると日本人で良かったと心から思えます。
所々に挟まれてた警官とサッカー少年のシーン。何処かで絡んで来るんだろうなぁって思ってたら、あっさりデル・トロの囮に使われて殺されちゃうし。メインのストーリー・ラインはあったとしても作ってる側が伝えたかった事はメキシコでの日常の方ではないかと思えてきます。
もう、最初っから銃撃戦で始まり、ずっと緊張感の連続で、麻薬カルテルと復讐という重いテーマを取り扱いながらも、一級のエンターテイメント作品に仕上がってたと思います。
しかし、もしこれが現実ならメキシコの人には甚だ失礼な言い方になりますが、間違ってもメキシコにゃ住めねーなと思いました。日本に住んでる羊な自分は狼の国では生きていけません。日本に生まれて良かった。
「父ちゃん、サッカーやろうよ」
あるメキシコの家族の風景が時折挿入される。サッカー好きの少年が父親と一緒に遊びたがっていて、お母さんは黙って料理をする。その父親がどこかで本編の重要な場面で絡んでくるハズだと期待していると、意外なところであっさりと・・・と、何だかここだけでも悲しくなってきた。そんな悲哀が必ず生まれてくるほどの野獣都市ファレス。
ちょいと正義感が強すぎるFBI誘拐即応班のケイト・メイサー(ブラント)。冒頭のアリゾナ州での奇襲作戦でもカッコよく銃撃戦を制してみせたり、仲間たちが死体の束を見て嘔吐しまくる現場でも平気な顔をして気丈な性格をみせる女性だ。そんな彼女の腕が買われてメキシコの麻薬カルテル撲滅の任務を帯びた特殊部隊にスカウトされる。
怪しい。怪しすぎるほどの特殊部隊。そこのサンダル男マット(ジョシュ・ブローリン)はCIAなのか国防総省直属なのかもはっきりしないし、部隊には刑務所から仮出所している者もいるくらいだ。そんな中、物静かで何を考えてるかもわからないアレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ)も不気味だ。そんなアレハンドロの経歴もメキシコで検察官をやってた事実や、ケイトの相棒であるレジー(ダニエル・カルーヤ)も法律の学位を取ってることから、正義や法律順守といったものまでテーマとなっている。
実際は麻薬カルテルを“混乱させる”ことが彼らの任務。そこには仲間の動きさえ把握できない作戦、自由射撃、超法規措置といった、一般人から見ると善と悪との区別さえつかなくなるような部隊だったのだ。そんなところにマネーロンダリングを追及しようと正義の盾を振りかざすケイトが入ったもんだから、彼女さえオトリとされ、一味を捕らえようとする。すでにアメリカとメキシコの国境地帯は戦場そのものだったのだ。
後半のメインになるのはアレハンドロの復讐劇。混乱させるという名目なんて、もはや彼の視界には入っていなかった。カルテルのナンバー3と言われた男に妻と娘を殺された復讐の狼。そこにたどり着くまでには汚職まみれの警官だって無慈悲に殺していくのだ(サッカー好きの息子がいようがいまいが関係なしだ)。さすがに屋敷のメイドだけは殺さなかったところに人間性が残されていた気がする。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作も何本か観てきて感じたのは、重厚な自然を背景にして、人間がいかに小さいものだということを表現しているとこと。レフ版を使わず(実際は知りませんが)に陰影をわざとらしく映し、露光を高めにしているような、独特の色彩があります。また、重低音で体に訴えてくる音楽というよりシンセノイズ。あまり多用されると眠くなってくるのが欠点かもしれない・・・
人と獣の境とは
アメリカ/メキシコ国境で繰り広げられる対麻薬戦争。
その恐るべき様相を描いた『ボーダーライン』。
続編『ボーダーライン/ソルジャーズ・デイ』の
公開にあわせて久々に再鑑賞。
監督は『灼熱の魂』『ブレードランナー2049』等の
ドゥニ・ヴィルヌーヴだが、エンタメ性を確保しつつも
テーマ性の強い作風で知られる彼の作品中では、
本作は最もエンタメ寄りの作品という気がする。
...
冒頭からズンズンズンと低く響くドラムの不穏さ。
FBIの突入作戦で始まるオープニングからして強烈。
真っ昼間の乾いた空気の中、さして広くもない家に
立ち並ぶ、ビニール袋入りの死体・死体・死体……。
ほぼ全編、主人公ケイトの視点で進む物語。
誰も彼女に状況を説明してくれないので、観客も
ケイトと同じ立場で次々と異様な事態を見せられる。
逆さ吊りの首無し死体、高架上での無慈悲な銃撃戦、
味方である警察が、友人が、こちらに銃口を向けてくる様。
黄砂色の荒涼とした風景と、重く唸るようなスコアも
相俟って、この映画は終始こちらに不安と緊張感を強いる。
ケイトもFBIの突入部隊員なので、並の人間よりは
遥かにタフだ。だが、国防総省の指揮官マットと
その片腕アレハンドロはそれよりも更にタフだ。
――いや、タフというより、彼らは倫理観という
リミッターがパキンと外れている。
カルテル壊滅という大きな目的の為、1000万ドル
規模の資金洗浄に目をつぶる。捜査を円滑に進める為、
『正義を果たしたい』というケイトの信念を利用する。
息子のいる父親を、ためらいもなく肉の盾にして敵を欺く。
彼らは勝つ為に手段を選ばないし一瞬の躊躇すらしない。
...
終盤、自身の正義を踏みにじられて初めて涙を見せる
ケイトに――『俺の大切な人に似ている』彼女に――
アレハンドロは慰めとも取れなくもない言葉をかける。
「小さな街へ行け、法秩序が今も残る土地へ。
君はここで生き残れない。君は狼じゃない。
そして、ここはいまや狼の土地だ。」
恐ろしい考えだが、倫理観や善悪とは結局の所、
文明社会というシステムを円滑に機能させるために
人間が作り上げたプロトコルに過ぎないのだろうか。
獣の行動原理には善も悪も存在しない。自分や
自分の家族が生き残れるか殺されるか。それだけだ。
正義や倫理が一切通用しない土地。
人と獣の境目が曖昧な、荒涼たる土地。
人はいったいどこまでが“人”で、どこからが“獣”なのか?
少なくとも分かるのは、アレハンドロはとっくに
その境を越えて戻れなくなった人間だった。
愛する家族を無惨に殺された時点で、彼は
“人”であることをやめてしまったんだろう。
ケイトはその境を越えることはできなかったし、
そうせずに済むチャンスが残っているならば、
そうしなくて良かったのだと心底思う。
...
物語の最後……戻らない父親のベッドを見つめる少年。
サッカー場の近くで聴こえる銃声を聴き、凍り付く
母親たち。一瞬動きを止めた後、すぐに試合へと
戻る子どもたち。どこか諦めたようなその表情。
こんな日常があってたまるかと言いたくなるが、
これもまた地球の裏側で繰り広げられている日常。
<了>
.
.
.
.
余談:
そういやベニチオ・デル・トロって『ウルフマン』で
狼男を演じてましたね。何か狼に縁があるんかねえ、彼。
狼の生きる街
この作品は麻薬戦争が起きるメキシコでの任務に参加することになったFBIの女性が自分の想像を超える現場を目の当たりにしたことで自身の善意に反している行動の数々に不満を抱いてゆく物語です。
この作品の主人公は紛れも無くこの女性であり、映画での善の定義もこの女性が主軸であるがこの作品の登場人物、一人一人の心情にも共感することができます。
特にベニチオデルトロの演じたキャラクターは主人公とは対照的な考え方をしていたが、彼自身の行動は善とは程遠いものだったが、彼には彼自身の善意があり、非常に考えさせられました。
この作品はメキシコで起こる麻薬戦争を通して人間の善悪を表現していて、そのキャラクターごとの複雑な心境も描かれていて、とても見応えのある作品でした。どのキャラクターの心情も他と異なるもので不必要なキャラクターは多くなかったと思われる。
エミリーブラントのキャラクターは我々の心情を代弁したようなキャラクターであり、一般的な考えであった。彼女はメキシコの麻薬戦争を目の当たりにしたことで彼女は善について考えさせられていくが最後まで自分の信念を曲げることはなかった姿はとても良く描かれていた。
ベニチオデルトロのキャラクターは自分の為だけに任務に参加しているようなキャラクターで復讐心だけで動いているように見えた。今回は自分の目的である殺される家族の敵討ちを達成する為には手段を選ばないようなキャラクターであったが今回でそれは達成されたので続編ではどう描かれるかが気になります。ラストで主人公に言った、「君は狼にはなれない。ここは狼が生きる場所だ。」という言葉がこの作品を表しているような言葉であり、印象にも残っている。
悲しみの連鎖
みんな幸せに暮らしたいと思っているが犯罪に手を染めなければ幸せを手に入れられない。
復讐で麻薬のボスの子供を殺すシーンはすごく心にきた。
あんな可愛い子供が殺される世の中があることが悲しい。
正義もないこの戦争は無間地獄そのもの。好きなことができて普通に生きられる世の中に感謝。
その善悪にボーダーはありません
ヨハン・ヨハンソンの音楽とロジャー・ディーキンスの画で、始終緊張を強いられる。鼻の下の毛を抜きながらでないと観られない緊張感。
後半はベニシオ・デル・トロの独断場。
公開時のポスターに“その善悪に ボーダーはあるのか”と書かれているし、ニーチェの『善悪の彼岸』を観るような感じかと思っていたけれど、個人的には全くそうではなかった。
善と悪についてというより、原題のとおり、シカリオ(スペイン語で”暗殺者”)の話で、暴力は何も生まないという話だ。
善と悪の境界線について今さら問うのは古い。境界線はない。善と悪は、人間の中で、いつも対等で、いつでも交換可能な本性だと思うから。
あと「そうそう、ドゥニ・ヴィルヌーヴってSFの人になる前はこんな感じだったよね」と懐かしくなった。好きです。
悪が、肉体の表面を突き破る
自分の側が正義だと思っていた。しかし悪が、表面にある正義を突き破って、オモテに出る。気づいたらラスボスは自分自身(正確には自分の味方)だったー。
信じていた自分自身が、ラスボス。「自己」を疑問に持つ人物を作り上げる、ヴィルヌーヴ監督らしい作品。(『灼熱の魂』『ブレードランナー2049』など)
『メメント』をお手本とした、直近20年間の映画の語り口の一大テーマでもある。
自己探求+どんでん返し。自分を疑え。
アメリカ/メキシコを隔てる境界線。
そこでは同時に、正義/悪というコントラストが存在している。
車列は境界線を越える。と同時に、「正義」陣営の内に秘められた「悪」が首をもたげる。そして表面にある「正義」の皮を破って、露出する。「悪」の土地では、己が意思のままに銃撃殺人をおかしてもいい。正義の実現を目的とした、悪の実行。いいやそれは悪事ではない。単なる、目的達成のための手段。アメリカの国益。より大きな利益のために、小さな悪事を見逃す。(でも、ミクロな視野に立つ主人公に見えるのは、悪事だけ)
車列が正義→悪へと境界線をまたぐ
悪が、肉体の内部から外へと表皮を破ってあらわれる
ラスボスが、自分(達)の内側から現れる。
……「領域Aから領域Bに物体が移動するイメージ」で語りきった作品だと思います。おもしろい。
シカリオ
ボーダーラインってタイトルを付けた奴はこの映画との相性が悪かったんだろう。
緊張の糸が張りっぱなし、そして鑑賞する我々の後頭部をアレハンドロに見られているような、ジットリと嫌な汗が出てくる展開が続く。
いつ誰が死んでもおかしくない状況に放り込まれて、心臓がしんどかった。
答えは自分の中に
何気ない自然等の映像や音楽にやたら恐怖感を感じました。
音楽はわかるんですが、何気ない自然の風景にもそれを感じるというのは凄いです。
監督として独自の世界をはっきりと持っている、そのことが大事なことなんだということを教えてくれます。
復讐の為に新たに人が死んでいく。 なんか無限地獄みたいな…。
どこに希望を見いだしたらいいの?
そんな内容でした。
答えは自分の中に。
『トラフィック』にもデル・トロ出てたなあ
この邦題はよい邦題。国境麻薬戦争物だと『トラフィック』も面白かったが、これはより暗部に切り込んだ物に思えた。
こちらが麻痺してしまったのか、途中で何度か、「今彼女は何に対して怒っているのかな?」と思ってしまった。
と書いていたら続編が全米公開されヒット中とか。おおっ。
リアリティを追求するならば
淡々と進んでいくストーリー。
法律無視で無茶苦茶な警察やFBIだけど、それくらいしないと問題を解決できないという説明にも説得力がある。
そんな超法規的な作戦中、ありがちな正義感を振りかざす主人公が若干ウザい。
エンターテイメント的な映画ではないので、緊張感や恐怖感に如何にリアリティを持たせるかが重要で、そこが評価ポイント。
全体的には非常に良い!
だけど細部が甘い。
マネーロンダリングで札束を留めていたゴムと同じゴムを持っていたというだけで即攻撃してしまう主人公。
銃弾飛び交うトンネルでヘルメットを脱いでしまう主人公。
ラストシーンで銃口を無抵抗な人間に向けてしまう法律万歳なはずの主人公。
とにかく主人公が残念。
ヘルメットは無い方が絵的に良いからきっと制作側の都合なんだろうけど、あからさまなのは嫌だ。
つかめない麻薬社会の闇
・国防省の特別部隊の対メキシコ麻薬カルテル殲滅作戦に同行することになったFBI捜査官のケイト
・時々挿入されるメキシコ警官の日常シーン
・ラストに表示される原題は「シカリオ」暗殺者の意
・効果音が不穏な空気を増幅させる
・空撮や遠景ショットで物事の背景がわからなくなる様子が表れてる
・ベニチオデルトロが暗い過去を背負う寡黙な暗殺者役でベストアクト
こんな
世界が同じ地球上に有るなんて信じられないが、これも現実なんだと思うと本当に今の現実は実は脆い物なんだと実感した。
普通の神経では直ぐに持たなくなる世界に突然行くことになった主人公の心が崩壊しそうな感じが観ていて痛々しかった。
ゼロダークサーティより好き
この映画の好きなところ
・ありがちな主人公の成長物語ではない
・不穏な予感をさせる演出(音楽最高)
・ラストの主人公視点からの変換
・ジョシュブローリンの下衆感
・エミリーブラント
メキシコ麻薬カルテルものはハズレが少ない。トラフィックとならぶ傑作。
全243件中、81~100件目を表示