ボーダーライン(2015)のレビュー・感想・評価
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怒りと惨さ、善と悪が混ざり合う傑作
ベニチオ・デル・トロの凄みと影が映画にどんよりとした深みを醸し出している傑作。
善を成すために悪に染まり、悪は単純に悪ではなく彼らにも愛する家族がいる。
普段の生活では感じることの出来ない世界観をリアルな描写で体感させてくれる傑作。
冒頭、ショッキングなシーンでそそってくるが、そこからがやや冗長。話...
冒頭、ショッキングなシーンでそそってくるが、そこからがやや冗長。話が重くて難しい。確実に分かったのはメキシコ🇲🇽はほんまにヤバいこと。壁を作りたくなる気持ちがわかる。
主役かと思ってたお姉ちゃんは実はそうではなかった。終盤の緊張感は半端ない。マジで怖い。
時々挿入されるサッカー少年のシーンがラストに生きる。悲哀。
BS12字幕版鑑賞
観る価値がある映画
硬派な対麻薬犯罪組織ドラマといったところ。ネガティブな要素は多いが突き詰める作業がちゃんとされていて観る価値がある映画だと思う。
主人公は女捜査官だが、物語の軸はデルトロが演じる元検察の部隊員ということになる。麻薬組織のボスに家族を惨殺され復讐を果たすため作戦に参加している。過去は映像として出さないのでぼけているが、そういうことらしい。
ようするに彼女は最後まで蚊帳の外。活躍する場面がなく、過酷な現実に愕然とし神経をすり減らしナーバスになっていく過程が描かれる。これは視点の設定という意味ですごく巧みだと思った。観る側も彼女の視点に立ち目の当たりにする複雑な事柄を共有させられる。
あのクライマックスはインパクトあると思う。妻子供を先に殺す、あれ。
なぜ、あれを描くか?そこに作品の芯がある。あれは考え得る限りの極刑。法に委ねるに値しない人間、というある意味反社会的な主張とも採れ、それを描く点に作り手の強靭な意思を感じる。。
重いテーマと安っぽい邦題
邦題からエミリー・ブラント主演のB級アクション映画と思いきや、美人で華奢な彼女が演じるのは苦悩するFBI捜査官。彼女は正義と悪の境界でも自分の信じる正義を貫きたいが、そこは混とんとした世界。アメリカとメキシコ国境を挟む活動と自分の揺れる信念。エミリー・ブラントと対峙させるようにベニチオ・デル・トロを配置し、「正義とは」を観客に問いかける。
確かに境界線はテーマではあるが、こういう安易でちゃちな邦題をつける配給会社のセンスを疑う。プロローグで原題の説明までしているのにね。
冒頭の死体とか吊るされた人たちとか、あれが事実としたら、悲惨な戦争を反省して平和な社会を築き、今や平和慣れしているこの国に生れ育った自分の幸せを痛切に感じた。
国境での辛い仕事!の後もヒドイ!
まさか作戦の全貌を知らされずに動かなきゃならないとは。知らない内にオトリになって殺されそうになったり。最後は自殺に見せかけて殺されそうになりながら、あれは作戦でしたと署名させられて。要望されたから望んで来たのに、一体何なんだ!
終始緊張
ハラハラドキドキとかそんな生やさしいものじゃない。蛇に睨まれたカエル状態でずっと緊張する映画。
正義が存在しないかのような世界で自分の意思ですらない何者かにコントロールされているような気分だ。
誰もなんとも思わないささやかな存在が誰かにとっては大きな存在なのだ。大きな流れとともに描かれる警察官の死はこの映画にとってもささやかなものだが、僕らの心には強く印象付けられる。
まさにこの世の不条理の象徴的な存在として描かれている。
鬼
「ウインド・リバー」がめちゃくちゃ良かったので、シェリダン脚本ということで見た。麻薬カルテルの話なので、残酷な描写があるかもと思うと気が重い。が、ビニール越しだったり、遠景だったりで、多少は紛れたので助かった。グロいのがとにかく苦手なんで。しかし、たくさん人が死ぬのは間違いない。
命の価値が低くて、やりきれない。
ヒロインはちょっと線が細すぎな感じだけど、この映画に必要なのは迷う人だから合っているのかも。見た目が良いのも利用される条件だし。レジー役の人、どこかで見たなーと思ったら、「ゲット・アウト」か! ハンサムくんだね。
正直、作戦の内容はよくわからなかった。アメリカがどんだけ困っているのかもあまり知らないし。トランプがメキシコとの国境に壁を作るとか言ってたので、実際手を焼いているのだろう。そんな状況で妻子を殺され、鬼と化したアレハンドロ。ケイトと違い、迷いは一切ない。人間の一線を超えてしまったのか、感情が顔に出ないから怖い。水のボトルは何に使ったのかな…。
凄い世界を覗いてしまった
主人公も観客も何もわからないまま、麻薬組織が蔓延るメキシコに駆り出されて、撃ち殺し撃ち殺されるのが日常という世界を覗いてしまう。
主人公も観客も、なんとかついて行き、自分なりの正義を貫こうとするが、そういう世界ではないと知る。
凄い世界を覗いてしまった。
最近一番何回も見てる映画
アメリカとメキシコの国境周辺での密入国側ととそれを阻止する国境警備隊との小競り合いのはずが、メキシコの麻薬カルテル対掌握しようとするCIA側の攻防戦に。今や密入国は麻薬カルテルが取り仕切る時代になっている。
地元FBI女性捜査官(エミリー・グラント)に捜査協力を依頼するCIA局員(ジョシュ・ブローリン)とCIAに雇われた謎のコロンビア人殺し屋(デルトロ)の三人を軸に物語は進む。
兎に角映像がいちいち美しい。メキシコで犯罪者を受け取り、戻る黒のSUV車の列を空撮してるだけなのに何かスタイリッシュである。
静かで不気味な音楽が更に不安感にさせ、かつ映像を洗練させる効果が少なからずあった。
さすがヴィルヌーブ監督といったところ。
あくまでも法に則った走査をしようとするFBI捜査官とアメリカの正義を優先するCIA局員の対立しながら進む。
結局は小さな正義は大きな現実に敗れることになり、なす術もなくFBI捜査官は脱落者となり終わる。
「ボーダーライン」は邦題で、原題は「シカリオ」=殺し屋である。それをハッと思い出させるラストだった。
そこまで強くなれない
『迷走王 ボーダー』狩撫麻礼原作、たなか亜希夫作画
まだ二十歳そこそこの若造の頃没頭して読みふけった漫画である
犯罪とは無関係な話だが人の深い部分を描くなんとも真に迫った若者には危険な漫画だった
漫画が終わり数年して私は結婚したのだ
当然この作品を持ってはまともな生活など出来ないと思い手放した
まともな社会生活にはあまりにの毒なのである
「ボーダー」とはそお言うものだ
その一線を1度でも越えてしまったらそこで終わりなのだ、法を犯すとかではなく人として
今は世間がコロナに騒いでいる
誰かが陽性だと知ったらネットで洗いざらい暴かれまるで滞在を犯したかのように叩かれる世の中だ
そこにはもうボーダーラインは無いのかも知れない
一線を越えたことすら気が付かずに
私もどちらになるのか分からない弱い人間だ
ただ涙を流して立ち竦むだけかも知れない
ヴィルヌーブ作品はハズレなくて信頼できる監督。 ディーキンスの映像...
ヴィルヌーブ作品はハズレなくて信頼できる監督。
ディーキンスの映像美はトンネル突入前の日没シーンが真骨頂。夜の暗闇シーンを暗視カメラだけで貫き通すのもすごい。
エミリー演じる主人公の成長を描くのかと思えば、人間臭く、観客をイラつかせて、最後はプライドが崩されていくヒロイン像の描写って今まで見たことがない。
ラストシーン、少年のサッカー試合中に遠く聞こえる銃声。あの親子の運命を予言するかのようにして終幕。
この最後まで救いようがなく、観客に媚びない一貫した監督の作家性は清々しくて大好きです。
エグい描写もいける監督だった
米メキシコ間の麻薬戦争の実態を描く。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督2015年。
冒頭から容赦のない描写。覚悟せよ!と早くも突き付けられる。女性主人公の目を通して観客も混沌とした世界に突入してゆく。ヒリヒリした緊張感が半端ない。
物語が進むに連れジョシュ・ブローリンもデルトロも実にいい顔に見えてくる。
リズム良く進むが、終盤のギアチェンジがこの監督の作家性というところ。好みは分かれそう。(嫌いではなかった)
撮影監督はロジャー・ディーキンス。夕暮れ時の空の青さがまさに。
【法秩序の無い世界で生き残れるのは”狼”だけ。メキシコ麻薬カルテルを巡る苛烈な復讐物語。】
ー今作の監督はあの”ドゥニ・ヴィルヌーブ”だが、私は、今作の世界観を作り出した一番の貢献者は、脚本を書いたテイラー・シェリダンだと思っている。ー
■テイラー・シェリダンの創出する世界
・苛烈な世界を静かなトーンで描き出す比類なきストーリーテリング
・無駄な映像と会話がない
で、観る側に”音”で想像させる・・。
・スピード感
今作では、上記が見事に、全編に漲る異常な緊張感とともに、ドゥニ・ヴィルヌーブ監督の映像とマッチングしている。
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メキシコ麻薬カルテルを捜査するために”異例の外部(FBI)抜擢”をされ、国防総省のマット(ジョシュ・ブローリン:勝手に、メキシコ国境の銃撃戦男と命名。)のチームに合流”させられ”苛烈な経験をするケイト・メイサー(エミリー・グラント:法秩序を守るべきという信念の中で、苦悩するFBI捜査官を好演している。)。
そして、マットのチームの影のドン的な立ち位置にいる、アレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ)。
徐々に明らかになっていく、アレハンドロの哀しき過去・・。彼の非道なまでの行動の背景が仄かに明示され・・。
■今作が、圧倒的リアリティを持って迫ってくるのは、アメリカ捜査側だけでなく、メキシコ麻薬カルテルに関わる人々にも”家族”がおり、生活をしているという部分がきちんと描かれている所と、エミリー・グラントとベニチオ・デル・トロの圧倒的な演技であろう。
(リドリー・スコットの「悪の法則」やコーエン兄弟の「ノーカントリー」のような、”人間の形をした別の生き物”として描かれるメキシコ麻薬カルテルの描き方も魅力的ではあるが・・)
又、今作後の「ウインド・リバー」でも重要な役をこなしたジョン・バーンサルが麻薬カルテルに買収された警官を好演しているのも、少し嬉しい。
<この後、「ボーダーライン ソルジャーズ・デイ」でも、その世界感を遺憾なく発揮したテイラー・シェリダンだが、次回作にも期待したいところである。
現代の荒廃したメキシコ、アメリカ国境問題(一般的なメディアには殆ど出ないが・・)が続く状況下、彼はどのようなテーマを突きつけてくるのだろうか?>
島国には分からない国境問題。
メキシコの麻薬組織のボスを捕まえる為にFBIが秘密裏に動く。
たぶんメキシコとアメリカ問題って日本と北朝鮮の感覚みたいな感じなんだろうな。
もし、北朝鮮が陸続きだったら…と考えただけでも恐怖を感じる。
やはり日本には陸続きの国がないから
多少の無防備でも不法入国で入ってこないから安心感があるね。
だから、この様な問題の備えは隙きがあるのだろう。
ゴーンにも逃げられてしまったというのがいい例だと思う。
自分がどれだけ平和な状態で生活しているのか、考えさせられる映画だった。
曖昧なボーダー
主要人物の3人が渋い。そのせいもあってかただでさえ疲れる内容の物語を余計難しくしている。
流れはシンプルでわかりやすいけど、善悪というテーマが極めて難しい。ただ、ケイトが善悪に揺れたり、価値観が崩れる様子が描き切れているとは感じられなかった。
こちらも正義
まっすぐな正義はメキシコでは通用しないという現実をシリアスに描いた作品。
テイラー・シェリダン「現代のフロンティア3部作」の2つ目。
一貫して現実を描いている。
このすっきりしない感は大好きです
(良くも悪くもハリウッド映画しか性に合わないという方は、観ない方が良いかもしれません)
麻薬戦争は間違えようのない"戦争"だ
第一印象として、めちゃくちゃリアルにこだわっているな、と思った。
キーホルダー?の伏線は少々できすぎていたけどそれ以外は容赦ないくらいにリアルだ。
そして麻薬戦争の描写が凄い!
詳しくないので本当にあんな無法地帯なのかは知らないけどもし本当だったらトランプ大統領が国境に壁を造りたくのも分かる。
暗視ゴーグルごしの映像や赤外線カメラの映像はリアルかつ緊迫感をだしていて個人的に気に入ったポイントの一つ。
そしてラストもまた余韻がいい。
ボスを倒しても"麻薬戦争"は終わらないという容赦ない現実。
エンターテインメント性はあまりなく意外と玄人向け映画だな、と感じた。
たくさん映画を観てる人程凄さが分かる。
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