劇場公開日 2016年4月9日

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「地獄巡りの物語」ボーダーライン(2015) Yukさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5地獄巡りの物語

2021年12月26日
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悲しい

怖い

難しい

法の力が及ばない、暴力と強欲の麻薬カルテルの世界。アメリカが秘密戦争を仕掛ける最前線では、ジョシュ・ブローリンとベニチオ・デルトロが演じるような男達が麻薬カルテルと闘う。

この2人がハマり役で、普通の神経では務まらないような恐怖と暴力にまみれた人生を送ってきた風格を漂わせている。デルトロは、麻薬カルテルに妻子を惨殺された元検事の役で、ただならぬ復讐心を抱いて秘密作戦を請け負っている。デルトロは顔が怖くて良い。

エミリー・ブラントは、FBIの捜査官役としては美人過ぎて不自然だが、この地獄の世界の案内役として、観客の立場を代弁している。法と善悪の判断に苛まれ、最後には銃を撃てない。

もはや現場では法も社会正義も無関係。個々人の逮捕や麻薬の押収ではどうにもならない、金と暴力に守られた地獄巡りの物語として、地獄と対峙する人々の物語として緊迫感に満ちた一級映画に仕上がっている。これが全くのフィクションでないのが怖い。日本に生まれてよかった。これを観て麻薬から離れる人が1人でも居たら良いと思う。

因みに続編も期待を裏切らない出来だった。

Yuk