「【法秩序の無い世界で生き残れるのは”狼”だけ。メキシコ麻薬カルテルを巡る苛烈な復讐物語。】」ボーダーライン(2015) NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【法秩序の無い世界で生き残れるのは”狼”だけ。メキシコ麻薬カルテルを巡る苛烈な復讐物語。】
ー今作の監督はあの”ドゥニ・ヴィルヌーブ”だが、私は、今作の世界観を作り出した一番の貢献者は、脚本を書いたテイラー・シェリダンだと思っている。ー
■テイラー・シェリダンの創出する世界
・苛烈な世界を静かなトーンで描き出す比類なきストーリーテリング
・無駄な映像と会話がない
で、観る側に”音”で想像させる・・。
・スピード感
今作では、上記が見事に、全編に漲る異常な緊張感とともに、ドゥニ・ヴィルヌーブ監督の映像とマッチングしている。
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メキシコ麻薬カルテルを捜査するために”異例の外部(FBI)抜擢”をされ、国防総省のマット(ジョシュ・ブローリン:勝手に、メキシコ国境の銃撃戦男と命名。)のチームに合流”させられ”苛烈な経験をするケイト・メイサー(エミリー・グラント:法秩序を守るべきという信念の中で、苦悩するFBI捜査官を好演している。)。
そして、マットのチームの影のドン的な立ち位置にいる、アレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ)。
徐々に明らかになっていく、アレハンドロの哀しき過去・・。彼の非道なまでの行動の背景が仄かに明示され・・。
■今作が、圧倒的リアリティを持って迫ってくるのは、アメリカ捜査側だけでなく、メキシコ麻薬カルテルに関わる人々にも”家族”がおり、生活をしているという部分がきちんと描かれている所と、エミリー・グラントとベニチオ・デル・トロの圧倒的な演技であろう。
(リドリー・スコットの「悪の法則」やコーエン兄弟の「ノーカントリー」のような、”人間の形をした別の生き物”として描かれるメキシコ麻薬カルテルの描き方も魅力的ではあるが・・)
又、今作後の「ウインド・リバー」でも重要な役をこなしたジョン・バーンサルが麻薬カルテルに買収された警官を好演しているのも、少し嬉しい。
<この後、「ボーダーライン ソルジャーズ・デイ」でも、その世界感を遺憾なく発揮したテイラー・シェリダンだが、次回作にも期待したいところである。
現代の荒廃したメキシコ、アメリカ国境問題(一般的なメディアには殆ど出ないが・・)が続く状況下、彼はどのようなテーマを突きつけてくるのだろうか?>
巫女様
お久しぶりでございます。
共感、ありがとうございます。
最近はこのサイトも、落ち着いております。
真の映画好きの方々の場となっております。
多大なる感謝と共に、何か気になる点がありましたら、ご教示頂ければと思います。
御身体ご自愛ください(お互いに・・)では。
> 今作の監督はあの”ドゥニ・ヴィルヌーブ”だが、
へええ。気づいてませんでした。レビュー読んで初めて知った。ありがとうございます
> 私は、今作の世界観を作り出した一番の貢献者は、脚本を書いたテイラー・シェリダンだと思っている
同感。いい脚本だと自分も思います。